壊されて、保険使うなら、警察必要だよ
「アパートの外階段の壁に穴をあけられていた」
そう、電話を掛けてきたのは初鹿野俊直さんだ。
正組合員だけれど、農業は全くやっていない。
仕事も、やっているのか、やっていないのか、それとも貸アパートの賃料と年金だけで生活しているのか、いまいちまだ良くわからない方だ。
独身のようで、60代半ばのお歳で一人暮らし。
自宅は立派な2階建ての日本家屋で、屋根が反り屋根で凝った作りになっている。
生命共済のご契約は無いけれど、建物更生共済のご契約は、自宅の建物、家財家具、アパートの3つもご加入頂いていて、建物更生共済だけで特別会員になっている。
「特別会員」って言うのは、共済友の会の加入者の特別な枠で、はるか昔は「億友会(おくゆうかい)」と呼ばれていたそうだ。
その名の通り、世帯全体の共済の保障金額が1億円以上ご加入頂いている世帯をそうお呼びする。
年に一度、特別会員の集いっていう、特別会員の方だけの企画も行ったりしていたらしい。
核家族化が進んだ今は、特別会員が少ないため、呼び名だけが残って、専用の企画とかサービスとかは無くなってしまった。
他の農協によっては、まだ、あるのかもしれないけれど。
その初鹿野さんが所有する2階建てアパートの階段の横の壁が、夜中に何者かによって陥没した穴をあけられてしまった。
写真を撮りに行き、確認すると、大きさはサッカーボール大くらいだった。
壁の硬さからして、結構な衝撃が無いと、ここまで穴は開きそうにない。
と、請求に必要なことを一つ一つご説明していると、
「警察の“受理番号”っていうのが必要になります。いま、わかりますか?」
と話したところ、
「警察?まだ連絡してないけど」
しまった。
最初の電話の時に確認して、直ぐに連絡してもらえればスムーズだったのに。。。
「もし、壊した犯人が誰か分かった場合、修理代は保険や共済ではなく、その犯人に支払ってもらうものですので、その犯人へ請求する権利を、農協に認めて頂いたりする手続きもありますので、警察への届け出と、その届け出た時に警察から受理番号を伝えてもらえますので、メモ等で結構ですので、あとでお教えいただく必要があるんです」
事件や事故は、最初に119番や110番をする。
と、平時はわかっていても、いざ、日常にない事態が起こると、その通りに行動できる人は少ない。
第三者的な立ち位置のこちら側が、冷静に、客観的に見られるので、できる限りサポートできるように気を配る意識を、もっと持つようにしたい。