熟成の技が魅せる、鮮烈な握り。
渋谷区東にある、熟成鮨のお店。インターホンを鳴らして、ビルの三階に上がる。
マンションの一室ワンフロア、店内はスタイリッシュに纏めておられる。
眼前にて、シャリが切られると同時に酢が立ち込める。炊飯時に酢を加えておられたのには驚きだ。
先ずは、北寄貝の旨味が溶け出した濃厚なスープ。
蛍烏賊に蛍烏賊のソースが掛かる。
芳醇な香りを放つ、蕪。
ミンク鯨、ハリハリ鍋。
ブドウ海老の漬け。
とろとろの槍烏賊。
焼き物、二十二日熟成の九絵。皮目は香ばしく、身はしっとり香りが強い。
握りの前に、シャリをいただく。硬めの仕上がり、後から立ち上がる酸味、独特の放香を持ちパワフルな赤酢のシャリ。
中トロ、香り高く酸味が立つ。パワフルなシャリとの素晴らしい調味。
漬け、しっかりとした歯応えに舌を巻く。香りも力強い。
トロ、滑らかに蕩け香りが深い。
小鰭、肉厚で柔らかい。噛むと強い香りが立つ。
北海道縞海老、さっと火を通され、身は驚く程ふわふわで溶けていく。
熟成された伊佐木、ねっちりと旨味が濃厚。
石鯛、むちむちで甘味が湧き上がる。
十三日熟成縞鯵、身がもっちりで香りが良い。
内臓までいただける秘密の鳥貝、軽く火入れされ甘味が増す。潮の香りが余韻を強める。
丁寧に火入れされた、煮帆立。
梶木は驚きの五十日越えの熟成。さくっと歯の入る食感と熟成香。パンチのある一貫。
追加でいただく。イタヤ貝、繊細な食感と優しい甘味が満ちる。
海胆で締める。
熟成を施された妙技に驚嘆した。香りと食感も非常に未体験、独自の鮨を追及されたお店。