綾とり
愛を失った子どもたちは
音楽の一人部屋に閉じこもる
咲いた言葉で埋めようとする
永く癒えないこの心臓
好きな世界を理解されなくて
冷めた視線を親に投げてた
ほんとは認めてほしかったんだ
私の好きな 嫌いな 得意な 苦手な
言葉を共有したいだけなんだ
家族は崩れて
友情も測れず
熱を避けて
深淵の音が聞こえたとき
高い塔のうえで立っている
あなたの声を
水のなかで感じた
五感さえ麻痺する引力を
想いが弾けだす魔力を
常識の枠を飛び越えて
届けたあなた
人と交わる時間がこわくて
人の微妙な仕草を気にして
人の気持ちが分からないのは
私が歌う理由を
私が知らなかったからなんだ
弱くて眠れない
いまを抱きしめたいから
命に焦がれる
熱を花にしたいから
私は街を歩きながら
今日も言葉の綾とりをする
誤魔化してるのは知っている
下手の横好きだとも思ってる
それでも 生きにくいまま
結ぶ言葉は時代精神
時間と意味をつないでる
白く渇いた唇から
明日も音楽の海に溺れる
むかし聞いた音色と
いまに流れた感情と
これから感じる味へ
固めた吐息は時代精神
あなたはこの瞬間を生きている
あなたの精神に頷く誰かが
きっとどこかで待っている
あなたの歌に微笑む誰かが
きっとこの時代に生きている
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