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小清水志織
2021年12月2日 21:04
*第3話はこちらから*第5話はこちらから雨よ来い、神に乞う呆けたこころを満たすまで闇は濃い、雨に恋うわたしの居場所になれるまで愛しい虹が青空に咲いたのは誰かが雨の種を蒔いたからでしょう名もない箱庭で蓮が踊るのは尽きぬ想いを届けたいからでしょう無常な昼の雲は青を引っ掻いて喪った世界を歌わせるのです長雨に濡れれば隠せるからか不規則な涙が止まりません因果を悟れば救わ
2021年10月3日 19:20
天つ風 絶ゆる秋いにしえの鳥は歌う未だ聴かぬ 神の言葉到らぬ者のあるべきか秋の風が忍び込む部屋。彼女の目蓋がはっと大きく開いた。だいぶ長い時間、昼寝をしていたらしい。サンドロールを半分かじっただけの、到底食事と呼べないような栄養補給を済まして床に寝そべってしまった。眼に痛い夕焼けが部屋に差し込んで、赤い光線が窓から差し込んでいる。縒れたブラウスの裾から下着のシャツがはみ出している。セミロ