梅雨入り。夏に向けて
毎年、梅のシロップを作っている。
梅のシロップは水で割って、梅ジュースにする。夏の楽しみのために、小さい頃から、毎年作ってきた。
父は気が向くと、梅ジュースにレモン果汁を入れたり、ポカリスエットを入れたりして、特製ジュースを作ってくれた。たまに、栄養剤が入って黄色くなっていることも。
私が実家を出てから、実家でも作っていたようだが、途中で作るのをやめてしまったらしい。
私が自宅で梅シロップ作ろうとした時、父が毎年使っていた瓶をくれた。
2kgの青梅のヘタを爪楊枝で取って、よく洗う。布巾で拭いたら4本歯のフォークで4ヶ所に穴を開け、袋に入れて冷凍庫で一晩置く。
翌日はまず湯を沸かし、熱湯で瓶や蓋を消毒。次に青梅を2キロの上白糖と少しずつ互い違いになるように瓶に詰め、焼酎1/2カップを上からザッと回しがけ、蓋を緩めに締めて出来上がり。
冷凍庫で冷やした青梅を入れるから瓶が濡れるため、瓶の下にはタオルや新聞を引いておく。
あとは2週間ほど朝晩砂糖がよく回るように瓶を振り、砂糖が足りなければ継ぎ足しをする。
シロップが充分に抽出出来たら、梅の実とシロップを分け、シロップは別の瓶やペットボトルに詰め、冷蔵庫で保存する。以前入れていた瓶はポンジュースの広口瓶だった。
それからが戦い。出来上がってから2週間は、青梅の毒素が抜けていないから、飲んではいけないのが決まりなのだ。冷蔵庫を開けるたび、日付の書かれたポンジュースの瓶が子どもの私たちを誘惑した。
「ねえお母さん、梅ジュースはまだダメなの?」
「お父さんがいいって言ったらね」
毎年のやり取りだった。
青梅の毒素云々というのは、最近インターネットが普及してから調べたところ、梅の実に含まれる毒素は少ないので、砂糖漬けにしてあれば毒素は抜けているとあった。
ただ、寝かせる過程も楽しみの一つなので、調べた後も毎年1週間は寝かせている。
姪や甥が産まれてからは、実家へのお土産にもした。小さい子どもたちには一度シロップを火にかけてから水で割って振る舞った。
実家に戻ってからも、私は持って帰ってきた瓶を使って梅シロップを作った。
一年目は手術前で体力がなくて、家族に手伝ってもらいながら作った。出来上がったあとは退院後の養生をしながら大切に飲んだ。
2年目はもう体力も戻っていたけれど、毎年の楽しみだからと家族も手伝ってくれた。姪や甥にも好評だからと、2回漬けるようになった。
そして今年も家族と漬けた。
漬けた後の梅の世話をするのは私。
夏の楽しみのために、今日も瓶を振る。