見出し画像

結婚ってそういうもんじゃなくない?

「結婚ってそういうもんじゃなくない?」

仕事から帰る道すがら、そんな声が聞こえてきた。
恐らく中学生、の女の子から放たれたその言葉が妙に耳に残ったので、
なぜその発言に至ったのかを想像してみる。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「結婚ってそういうもんじゃなくない?」

彩のお姉ちゃんが結婚するらしい。

おめでたいと思ったが、詳しく聞くと彩のお姉ちゃん、というよりその周りがあまり納得いかない様子。

彩のお姉ちゃんはとても面白い女性で、

大学時代、ロンドンに留学をして半年後にイギリス人の結婚相手を連れて帰ってきた強者だ。


ロンドン留学という響きだけで勝手に尊敬してしまっていた私は、その出来事を聞いて失望するどころか、あこがれを抱いた。

彩はじめ、家族の驚きようは筆舌に尽くしがたく、家庭が荒れに荒れたらしいので、

あこがれ、のあの字も口に出せなかったが。

その時は結局、1年の留学から一人で帰ってきて、いや、独りで帰ってきて何事もなかったかのように大学を卒業、今は有名な銀行に勤めている。

その彩のお姉ちゃんが、今度はアメリカ人の男性と結婚するという話だ。

銀行に入社してまだ半年。

環境が変わって半年というのが彼女の結婚適齢期なのだろうか。


またしても家族は大荒れ。

前のこともあったため、いくらか驚きの量は少なかったらしいが、

ご両親が眉間に手を当ててため息をついている姿が目に浮かぶ。

彩のお母さんは相変わらず可愛らしい。


彩の友達とはいえ、赤の他人の私は失礼承知で面白いと思ってしまっている。

こんな自分の気持に真っ直ぐな女性は他にいない気がするし、私は絶対に真似できない。

だからこそ、

いいぞー!と私の中のいたずらな私が野次馬根性でお姉ちゃんを応援しているのがわかる。


「外国の人と結婚したいだけだと思うわ」

彩が呆れたように言った


私はまた前と同じように、

「結婚ってそういうもんじゃなくない?」

と、彩とご家族に寄り添った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

いいなと思ったら応援しよう!