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チャージしましたと言われたら

あれは3年前のこと。
子宮頸がんになって、少し遠くの大学病院に通うことになった。発見が早く初期の初期だったが、気持ちは不安でいっぱいな毎日。病院に行くのも怖いし検査も怖い。すっかり臆病者になっていた。

ふさいだ気持ちのまま朝早くから病院へと向かい、待合室で待つこと数時間。ようやく診察を終え、帰る頃はさらに心はぐったりとし、体も疲れきっていた。のろのろとした足取りで、次の診察日のことを考えながら駅に向かい、上の空で改札機を通った時のことだった。

「チャージしました」
と、言われた。

「うん?」
と思った瞬間に頭が上がり、

「チャージされました」
と、心の中で答えていた。なんの理由もないが嬉しくなったのだった。ずっと下を向いて歩いていたことにも気付き、顔がほころんだ。

「改札機さんありがとう」
心の中で、お礼を言って駅のホームへと向かった。

あの日から、「がんが治ったら・・・あれをしよう」とか「がんが治ったら・・・これもしよう」と、仮説を立てて生きるのをやめた。今現在を考えるようになった。下を向くのをやめて、前を向くようになったからである。

あの日あの時、
「チャージしました」
と告げた機械の音声は、今でも頭の中で、ときどき繰り返される。何があっても、今を生きていられることが大事だと教えてくれた、大切な一言となっている。

改札機さんに感謝。今も、チャージされてるのだから。

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