21、【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑫~顧客に提供する商品・サービス(ソリューション)を構想する方法②
「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)
先週、新たな事業を構想する方法、「エレベーターピッチ」について考えました。
[事業で扱う課題][課題を持つ顧客層][事業の目指すゴール]、この3つの情報を発見する方法です。事業で扱う新たな商品・サービスを構想するための情報整理法。それがエレベーターピッチという方法でした。
今回は、エレベーターピッチで整理した情報に見合った具体的な商品・サービス(ソリューション)を構想する方法として、UXブループリントという手法があります。
収集した情報を具体的なカタチにするまとめ法として、とても有効な方法です。UXブループリントの手法から、事業で扱う新たな商品・サービスを開発する方法について考えていきましょう!
(1)UXブループリントとは?
UXブループリントを日本語で訳すと「顧客目線に立った商品の”青写真”」です。顧客目線に立った事業の具体的なカタチを構想することです。
UXブループリントの作り方は様々な方法があります。しかし、基本的なプロセスはどの方法を使っても同じといわれています。今回は、この基本的なプロセスを追っていきます。
作成の大きな流れは次のようになります。今までの分析法、インタビューで集めてきた情報を、前回のエレベーターピッチでまとめた手法を用いて、課題とソリューションを検証します。
そして、その結果の中から重要だと思う情報をカードに箇条書きにしていきます。そのカードに書いてある情報を精査し、項目ごとに整理し、論理的に並べることで、具体的なソリューション(商品・サービス)のカタチを作り上げていきます。
(2)ステップ①~カードに書いた情報をグルーピング
今までの様々な分析やインタビューで収集しまとめてきた情報を箇条書きにしカードに書き記します。そのカードに書いてある情報にはそれぞれの目的があるので、その目的ごとにカードをグルーピングしていきます。納得いくまでカードを並べ替え、グルーピングをします。そして、グルーピングされたら項目ごとに目的のタイトルを付けます。
グルーピングする時の注意点としては、カードの表面的な字面だけでまとめないことです。例えば、スマホアプリの開発ならば、「同じ画面に表示されると使いやすいかどうか」など、本質的な目的でまとめることがポイントです。
(3)ステップ②~グルーピングした情報を顧客目線でもう一度考察
次に、各グループの流れがどうなれば使いやすいかを顧客視点に立って時系列で考えてみます。
ここで重要なことは、顧客分析の時に行った、ペルソナ分析やカスタマージャーニー分析をもとに、想定できる顧客の人となりや置かれた状況、普段感じていそうなことを常に意識しながら流れを考えることです。
優れた顧客目線とは、想定される顧客がストレスフリーで、ユーザーが快適に目的を達成できるかにかかっています。
(4)ステップ③~各グループ毎の具体的なカタチ(機能やコンテンツ)を明確化
グルーピングした情報を俯瞰し、各グループに実装する機能やコンテンツなどをより具体的なものにしていきます。
その時の注意点は、他のグループとの関係を意識しておくことです。全体を俯瞰しながら考えていきましょう。
(5)ステップ④~重点的にテストしたいコアな部分を抽出
それぞれのグループを具体化する中で、実際に具体化できるかどうか?具体化しても問題が発生するのではないか?そのような不安を抱いたポイントがでてきたら、そのたびごとにメモしていくことが重要です。
具体化を完了した段階で、不安を書き出したメモをチェックし、振り返りをします。不安を感じたポイントを考慮しながら振り返りすることで、重点的にチェックやテストするポイントが見えやすくなります。
商品やサービスの試作をするとき、このリストを参考にチェックするポイントを作成していきます。
(6)ステップ⑤~利用前から利用後までの顧客のストレス観を想定する
具体化されたグループについては、それぞれ使用前から使用後までの機能の流れを時系列に並べます。こうすることで、商品・サービス全体の青写真が見えてきます。
その際重要な点は、顧客のストレス観をイメージすることです。これにより、試作品を作る前に改善点を明らかにすることができる可能性が高くなります。青写真の段階で改善点が見えると、試作する回数を減らすことができるので、試作のコストダウンにつながります。
開業時は特に費用が掛かるので、できる限りコストダウンしながら、顧客満足を上げることができるので、時系列に並べ変える段階で顧客のストレス観を想定してみてください。
(7)ステップ⑥~試作の設計図(工程図)を作成する
それぞれグルーピング、具体化、振り返り、時系列並べ替えしたものを、1つにまとめた設計図、工程図にしてみます。この設計図と工程図をもとに試作品を作成していきます。
ここで大切なポイントは、まとめる段階でも、様々な気づきや不安になるポイントが出てきたときの対応です。そのような気づきや不安がでてきたら、無視せずに一つ一つ細かくチェックし、納得する形になるまで設計図を作り直していくことが大切です。
心にひっかかるポイントをしっかりと拾いあげ、納得のいく設計図を作れるかどうか…これが、事業の成否を左右する大きなカギともなるので、慎重に心の声に耳を傾けていくことが大切です。
ーまとめー
・UXブルーポイントとは、今まで分析してきた情報をもとに作成する製品・サービス全体の青写真のことです。
・UXブルーポイントをもとに、試作品を作成し、事業で扱う商品・サービスを作成していきます。
・その際、重要なポイントは、顧客目線に立つこととと、不安や課題が見つかったら細かくメモしていくことです。この2つの意識を高めることが事業を成功させるカギとなります。
ここまでできれば、事業構想は完成に近づいていきます。この事業構想をもとに、予算や費用構造、収益構造などを作成することが可能となります。収益構造や費用構造などに関しては、多くの書籍が出ているので、そちらを参考にしてみてください。
次回は、事業構想の最終段階・プロトタイプ(試作品)の構築の注意点です。
最後までお読みくださりありがとうございました。