濁り
今年の夏に手を出したアクアリウムで、水槽の中の水が濁ることがあった。薄緑色の霞が掛かった様になって、60cm水槽の奥行きである30cm先ですら見通せなくなった。濁りは単なる汚れと言うよりも緑色の微生物の増加と思われたが、原因は良く分からなかった。
水草のために添加した栄養が多すぎて富栄養化したのか、水草育成用のライトを長時間照射したことか。どちらにしても微生物がよく育つ環境を作ってしまったことによるものだ。
この対策として行ったのが、ライトの点灯時間を極端に減らすことと、栄養を吸収してくれる浮草を浮かべた。
そして、もしかしたらこれが決定的な要因と思われたのが、外部フィルターの濾過材だった。思い返すと、水が濁り出す直前に掃除がてら濾過材をまるっと交換していたのだ。濾過材には物理濾過と生物濾過と呼ばれる二つのタイプがあって、簡単に言えば、物理濾過材は汚れを濾し取る作用として働き、生物濾過は濾材に繁殖した微生物による汚れの分解作用を利用するものだ。
それまで私は生物濾過材を使用していたが、これを物理濾過機能に寄った濾材に交換してしまっていた。物理濾材でも生物濾過機能が無い訳では無いが、汚れを分解してくれる微生物が育つまでには時間が掛かるのだ。そんな濾材の種類も知らずに新しいものに交換してしまったのだから良い訳が無い。
それでも半信半疑で濾材はそのままに様子を見ていたところ、ライトの影響か浮草の影響か、それとも濾材の微生物が育ってきたからか分からないが、少しずつ水はクリアになって来た。そのタイミングでサブフィルターを追加して、そこにそれまで使用していた生物濾過材をぶち込んだ。単純にフィルター容量が倍になって無駄に強化されたのだからだろうか、それ以来みるみる水が綺麗になって行った。
現在その水槽にはメダカ(みゆき)、グリーンネオンテトラ、オトシンクルス、ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビ、シマドジョウ、そして勝手に湧いてきたスネール(サカマキガイ?)が棲んでいる。各種水草に流木が置かれていて賑やかではあるが、実に素人が作ったっぽい水槽に仕上がっている。それでも、澄んだ水の中の小さな世界を眺めていると妙に癒される。
おわり