小学校の国語科の授業 古文編② 『竹取物語』は物語として読む
『竹取物語』は世界最古と言われている物語です。
「物語」と聞けば5年生の児童ならすぐに以下のように反応することでしょう。5年間も国語科の授業で物語の学習を繰り返してきたのですから。
物語なのだから「はじめ」「なか」「おわり」で分析できるのかな。
つまり、物語である以上は今まで学習してきた現代の物語と同じ構造を持つのもだと自然に考えるようになっているということです。
このような反応を生かして授業を展開すればよいのです。まずは『竹取物語』の全文(大体の筋が分かるものよいでしょう)を読み聞かせます(絵本を読み聞かせてもよいでしょう)。
それから物語全体の構造を分析させていきます。児童に全て任せるのではなく「はじめ」(かぐや姫のはじめの様子)は教師が以下のように提示してしまうとよいでしょう。
「はじめ」 感情がない(月の人だから)
そして「おわり」を児童に考えさせていきます。児童は、最後の月に帰らねばならなくなった場面で嘆き悲しむ姫の姿から以下のように考えるでしょう。
「おわり」 感情がある
つまり、『竹取物語』とは「感情がない異文化の人に感情が芽生える話」ということが言えるでしょう。では、なにが感情を芽生えさせたのでしょうか。この変化の要因が「なか」となることであり『竹取物語』の主題となることとなります。
*マガジン「小学校の国語科の授業 物語編」を参照してください。
変容の要因である「なか」については、登場人物を基にして考えさせていくとよいでしょう。大きく登場人物は以下の3人たちとなります。
・5人の貴公子たち
・おじいさんとおばあさん
・帝
そして、それぞれについて「かぐや姫の心を変えたのかどうか」を問うていきます。すると、児童たちは「貴公子たち」は変えていない、「おじいさんとおばあさん」「帝」は変えたと考えるでしょう。
次に、「なぜ変えられなかったか」「なぜ変えることができたか」について話し合わせます(ここに対話的な学びを取り入れるとよいでしょう)。すると以下のようにまとまっていきます(「おじいさんとおばあさん」「帝」についてはどちらも「本当の愛」と考えるでしょう。そうしたら「それは同じ愛かな」と問うていきます)。
「(偽りの)なか」
・5人の貴公子たち 変えられない(偽りの愛:人間の醜さ)
「(本当の)なか」
・おじいさんとおばあさん 変えられた (本当の愛:家族の愛)
・帝 変えられた (本当の愛:男女の愛)