中学校の国語の授業 説明文編① 日常生活における論証の構造

このマガジンは、先行するマガジンに書かれている内容の理解を前提として書いたものです。必ず、マガジン「論理的思考・表現の在り方(構造編)」「同(内容及び実践編)」及び「小学校の国語科の授業 説明文編」を読んでからこのマガジンをお読みください(可能であれば「小学校の国語科の授業 理論編」もお読みください。

われわれ人間は、言語の種類を問わず、自己の意見や主張を展開する場合は論証の構造を基にしていることになります。その論証の構造とは、以下のような演繹的なものとなります。

 データ(AはBである)
  ↓  ←  理由づけ(BはCである)
 主 張(AはCである)     (香西秀信『論争と「詭弁」』による)

しかしながらわれわれの日常生活においては(教科用図書に掲載されている説明文の内容を含め)、「データ」や「理由づけ」は蓋然的な場合(そうらしい=確実にそうだと言えないこと)がほとんどです。よって、それらの蓋然性を少しでも高めて「主張」に説得力を持たせようとしているものが日常生活における論証の構造となります。
マガジン「論理的思考・表現の在り方(構造編)」の⑨において、日常生活における論証の一般的な構造は以下のようになると述べました。

    根拠となる具体的な事実
        ↓ *帰納
     判断・考察(データ)
        ↓     根拠となる具体的な事実
        ↓        ↓ *帰納
        ↓ ←←←← 判断・考察(理由づけ)
        ↓ *演繹
       主 張           

このように、日常生活における論証の構造は、帰納的思考と演繹的思考を駆使する重層的な構造であると言えるのです。
中学校の教科用図書に掲載されている説明文(第二学年後半から)の構造は、上記で示した日常生活における論証の構造を基にしたものが基本となります(第一学年から第二学年前半にかけての説明文の構造は、小学校の高学年と同様となります。*マガジン「小学校の国語科の授業 説明文編」を参照のこと)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?