レディ セット ベイク!
Amazon Prime Videoのオリジナル番組「ベイクオフ・ジャパン」。我が家では夫婦そろって見事にハマってしまった。
「ベイクオフ・ジャパン」とはもともとイギリスでやって人気になった「ブリティッシュ・ベイクオフ」という番組の日本版とのことで、内容はクッキング・リアリティ番組だ。
10人の選ばれたアマチュアベイカーたちが参加し、決められたテーマのスイーツやパンを制限時間内に作り上げる。最後に審査員2人による評価があり、1話につき1人ずつ脱落していく。
最後に残ったベイカーには賞金があるわけでも特別な何かがあるわけでもないが、その番組で優勝したということが何よりの栄誉ということになる。
私は日本版の方から知ったので、全て見てからイギリス版も見てみたのだが、内容や会場が忠実に再現してあって、イギリス版を見ていた方にもさぞ刺さることだろうと思った。
そもそも私が見始めたきっかけは、ツイッターでフォローしている料理家のなかしましほさんが紹介していたツイートを見たことからだった。おもしろそうだから見てみようと旦那を誘い1話目を見たところ、普段テレビ番組をほとんど見ない旦那がどっぷりハマった。毎晩食事の時間になるといそいそとテレビをつけて、1日に1話ずつ大切に見ていた。最終話まで見終わった今でも審査員の真似をしたりしている。
この番組の魅力は大きく分けて3つある。
魅力1:調理中のハラハラドキドキ
とにかく調理時間はドキドキが止まらない。最初にベイカーそれぞれの完成予想図がイラストで映し出され、クリームを混ぜたりオーブンで発酵させたり制作していく様子を見ていくのだが、あちらこちらで不測の事態が発生する。
思ったように膨らまなかったり作業工程を間違えてしまったり。時間とも常に勝負だ。大丈夫なの?完成するの?あぁうまくいってあげて!と見ているこちらも祈るような気持ちになってしまう。また、そんな過程を経てできあがった美味しそうな完成品を見るのも楽しみのひとつだ。
そもそもテーマになるスイーツやパンの名前も知らないものがたくさんあった。「へぇ、こんなパンなんだ。今度パン屋さんで探してみようかな」と、視聴者のパンやスイーツに対する興味に繋がるのもこの番組のいいところではないかと思う。
魅力2:個性たっぷりのベイカーたち
この番組最大の魅力は、やはり登場するベイカーたちだ。
年齢も性別も肩書きも違う10人はそれぞれ違った思いでこの番組に参加している。最初はドギマギしながら緊迫するキッチンで作業をしていたベイカー達も、回が進むごとに仲良くなる。
ライバルでありながら、自分の手があいた時間があれば「何か手伝う?」と声をかけたり「これってどうしたらいいのかな」と相談したり。対決系の番組でよく見るバチバチとは正反対の空気だ。
他の人が失敗していたら「しめしめ」とつい思ってしまいそうなものだが、参加者達は「大丈夫大丈夫!」と声をかけ合い、それぞれの最高の作品で勝負しようという気持ちが見られる。
その人間性が見ていて気持ちが良く、みんな頑張ってほしいと応援したくなる。
最初からアマチュアとは思えない実力のベイカー達だが、回を重ねるごとに技術やメンタル面での大きな変化もみられる。惜しくも残ることができずに去っていくベイカーもできることはやったと晴々とした様子で、残るベイカーたちに頑張れと声をかける姿には胸が熱くなった。
魅力3:愛のある審査員とホスト
忘れてはならないのが今回審査員を務めたパティシエの鎧塚俊彦さんとパン職人の石川芳美さん、そしてホストの坂井真紀さん、工藤阿須加さん。
審査員の評価は時に厳しく、指摘はさすがプロの的確さ。失敗したところはしっかりバレてしまうし、ベイカーがわからなかった失敗理由も教えてくれる。反対に素晴らしいポイントも、作る過程を熟知しているからこそ「ここをこうするのは難しいのに上手に作ってある」と細やかに評価してもらえる。
2人の言葉は、この先もより一層スイーツやパンを作ることを愛してほしい、より良いパフォーマンスをしてほしいという愛が溢れているので、厳しい言葉でも前向きに受け取ることができる。
評価ももちろんだが、私の注目は鎧塚さんは軽妙なトークと眉間のシワ。それから石川さんのつい期待して待ってしまう「エクセロン」だ。(我が家では旦那がおいしいものを食べた時などに「ここの加減が素晴らしい」「エクセロン」とうるさいくらいに2人の真似をしている)審査員の2人のクセもまた魅力のひとつになっていることは間違いない。
それからちょっとスベりがちながら鉄のハートで毎回かましていく工藤さんに、心から心配そうに温かくベイカーに声をかけ寄り添う坂井さん。
この4人なくしてこんなに温かい番組はできなかっただろう。
出演者全員の魅力とおいしそうがふんだんに詰め込まれた「ベイクオフ・ジャパン」。シーズン1と書かれていたということはつづきもあるのだろうか。あってほしい。
めちゃくちゃおすすめなので、まだ見ていない人はぜひまず1話を見てみてほしい。私のようにお菓子なんかバレンタインでも作らないよって人でも、見終わる頃にはきっと「レディ セット ベイク!」と手を挙げて言ってしまうだろう。