「あれ?あの人実はケンタウロスなんじゃね?」
こうなることは全て分かっていた。
一つ一つの細かい全てが手に取るように分かっていた。
「いつかこうなる。必ずいつかこうなる。」
自分の心臓にピントが合ったあの瞬間から
はっきりとそう思えた。
間もなく、その左にいる、ちょっとしか使わなかったから捨てずに置いておいたマスクと
右にいる、月並な映画を観た後の月並な感想と
上にいる、小雨の匂いと僕の匂いが混ざった色のショートケーキと
どこにもいない、ウンチョコチョコチョコピーの人は
だんだんとボヤけていった。
今更見返そうと思っても、もはや何か分からないすりガラス越しのそれらが
自分にどう繋がるのかを愛で考え、
微かにそれらの輪郭が見えてきたあたりで、
再び心臓にピントを合わせる。
そんなことをしている間にも
僕たちを置き去りにすると言わんばかりのスピードで地球は回り
僕の思惑から一番遠く離れた場所に来た時、
織姫と彦星は今年も会えなかったらしい。
ふと気が付くと、もう一日の終わり。
溜まった汚れを昇華してからシャワーで落とす。
笑えなかった分の帳尻合わせ。
何かに形を変えてしばらく付いて来させる。
過去を面白くするために今を楽しんだ後で布団に向かう。
夢の中で思い出す
「動物園で見たゾウの親子、血繋がってないんじゃね?」
自分でセットしたはずの目覚まし時計にうんざりしながら体を起こす。
どうやら今日は昨日に続かなかったらしい。
結局、形を変えた汚れはどこかにいった。
そのせいで、法の精神を当てにして3.5合分のお米を炊いた僕は全治2分のケガをしてしまった。
その時に落ちた涙を見て、ニュートンは重力の存在に気付いたらしい。
なんでやねん!!!
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