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「自分を大切にしよう」と言われたら

「自分を大切にしよう」っていろんなところで耳に入ってくる。一番最近耳に入ってきたときの用法は、「周りのメリットよりも自分のメリットを優先してもいいんじゃない?」みたいな使い方だった。

だが、これはトンチンカンなコメントだ。なぜなら全員、周りのメリットよりも自分のメリットを優先しているからだ。

例えば、困っている人がいたら助けてあげる人がいたとしよう。周りが定時で帰っていくのを横目にもくもくと残業して頑張って尽くしているような人もそうだ。

この人は自分を大切にしていないかというと、大切にしている。相手にほどこすことによって、いつかくる相手の"見返り"を求めているのだ。

さらに、相手にほどこすと、「有能感」を得られる。(メカニズムは割愛)「自分優秀〜ヒャッハァ」みたいなやつだ。この有能感も短期的には犬も食わんが、いずれ自己肯定感に繋がっていく。

このように、困っている人がいたら助けてあげる人は、いつ返ってくるかわからない"長期的な投資"をしたといえる。

仏教界隈でいうところの”徳をつむ”といったところだ。徳を積むと、幸せになれたり輪廻がうまくいったり長期的に得すると聞く。

逆に、困った人を助けない人がいたとしよう。その人は自分を犠牲にしていないので、一見自分を大切にしているように見えるが、長期的には見返りがないので、「短期的な利益」を得ていることになる。

つまり、「長期的利益」か「短期的利益」かの違いはあれど、誰もがみな、「自分を大切にしている」のだ。

「自分を大切にしている」人に対して「自分を大切にしたほうがいいんじゃない?」と言っているので、トンチンカンということになる。

じゃあどう言えば良いか。

人は、性格やお金など、それぞれ限られたリソースを駆使して「長期的利益」か「短期的利益」の選択をする。なので、苦しそうな人というのはその選択がリソースとアンマッチである可能性が高い。

なので、「もうちょっと長期的or短期的利益を目指した方がいいんじゃない?」が正解だ。

子育てや仕事でクソ忙しく自分の時間が持てず最近元気がないAさんには、「もう少し短期的利益を目指した方がいいんじゃない?」と言ってあげよう。

皆残業しているのに「当然の権利なんで」と言ってアフター5はクラブでアゲアゲのBさんには「もう少し長期的利益を目指した方がいいんじゃない?」と言おう。


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のろさとし | 実業家 | 製造業 | システムエンジニア
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