「なりたい自分に必ずなれる!」は本当か
嘘だろう。
日本で野球選手は1000人として、野球人口は100万人だ。野球選手になりたいと思った時、0.1%の確率でしかなれない。
野球選手を目指す以上あわよくば1番にもなりたいはずだが、一番になれるのはもちろん1人だけなので、100万分の1の確率でしかなれない。世界で1番なら3500万分の1だ。
0.1%の確率しかないのに「なりたい自分になれる!」とは良く言ったものだ。
だが、こういうことを言う人間に罪はない。なぜなら、本当にそう思っているからだ。
僕たちの耳に届く「なりたい自分になれる!」は、往々にして、なりたい自分になれた人の言葉だ。
なりたい自分になれた人は、そりゃ「なりたい自分になれた!」という観測結果を元にしているので、堂々と、そして確信を持って僕達に伝えるだろう。
またこういう発言は世の中のニーズにもマッチする。
「子供たちに一言!」とヒーローインタビューでリポーターがマイクを向けた時、
「とりあえず野球で1番になるのは100万分の1の確率だし、プロになるのだって1000分の1の確率です。なれないことを必ず考慮に入れて、セーフティネットを用意したうえで、夢を目指して頑張ってください!ありがとうございました〜!!」
観客「うぉぉぉぉ!!」
‥とはならないだろう。
「夢を信じてやり抜けば必ず叶います!なので頑張ってください!」
観客「うぉぉぉぉ!!」
‥ってとこだろう。
わざわざ精度の良い事実なんぞ誰も聞きたくないのだ。
ここまで言っておいてなんだが、わざわざ僕も皆のやる気を削ぐのは本懐ではない。「なりたい自分に必ずなれる!」方法もある。
実現可能性を加味して目標を調整すれば必ず「なりたい自分に必ずなれる!」のだ。
100万人いる野球人口のうち、99万番以内が目標!とすれば、なりたい自分にかなりなれそうだ。
つまり、ヒーローインタビューは以下のような感じだ。
「現実と自分の脳力に即して柔軟に目標をチューニングすれば必ずなりたい自分になれます!頑張ってください!今日はありがとうございました〜!」
子供たちは「パパぁ、チューニングってなぁにぃ??」となり、パパは「ちっ、余計なこと言いやがって」となる。
うーんやはりやる気は削がれちゃう。
嘘も方便ということか。