いいお母さんになる方法
「いいお母さんになりたい」ってよく聞こえてくる。なのでいいお母さんになる方法を一生懸命考えた。
まず、「いいお母さん」の定義だが、「子供を幸せにすることができるお母さん」ということで良いだろう。だいたいみんなそんな感じで捉えていそうだ。
だが、この「幸せ」というのは捉えがたく、ここに明確な定義を与えるのは困難だ。
子供が総理大臣になったら幸せなのかというとそうでもない。社会的地位は高いが、誰かに言い含められた法律を通すために、野次にもまれながら、SNSでの罵詈雑言とともに日々支持率を低下させながら、忙殺されている。忙殺ならまだいいがたまに暗殺もされる。
子供がホームレスになったら不幸かというとこれまたそうでもない。社会的地位は低いが、自由度が高い。納期に怯えることもなければSNSチェックに勤しむこともない。明日着る服に悩むこともないし鼻毛が出ていることを毎日チェックする必要もない。働かなくても炊き出しや生活保護で腹は満たせる。
以上より、「将来子供をどんな大人にしたら幸せか」という観点では答えは出ない。つまり、「いい母親」になるためには「今今、子供が幸せ」であることにフォーカスする必要がある。
さて、では今今子供が幸せな状態を作るにはどうしたらいいか。貧乏で明日食うご飯もままならない場合、子供は不幸になるのか?いや、どんな環境でも幸せにすることは可能だ。
どうやるかというと、子供の「幸せの定義」を親が刷り込めばよい。0歳から面倒見ているのだ、刷り込むのは簡単だ。
例えば自分の家庭が貧乏で明日の飯もままならなければ、「食えないということは幸せだ」と子供をマインドコントロールすればよい。
そうすれば、「食えないって幸せだ!僕に飯をあまり与えないなんて、なんていい母親なんだろう!」という評価が得られる。
この手法はなんにでも適用できる。
「読書が出来ることが幸せ」と刷り込めば、定期的に図書館に連れて行くだけで「読書が出来るって幸せだ!僕を毎週図書館に連れて行ってくれる!なんていい母親なんだろう!」という評価が得られる。
こうやって考えていくと、実は「いい母親」というのは自作自演と言えなくもないことに気が付く。自分で子供の幸せの定義を作り、出来上がった幸せを満たしてやる。これがいわゆる「いい母親」なのかもしれない。
さて、ここで邪魔なのが外部からのチャチャ入れだ。通ってる学校の先生が「食わないのが幸せなわけないだろう!」って言ってきたり、クラスメートが「読書なんてつまんねえだろ、フォートナイトやろうぜ!」って言ったりしてくることだ。
「いい母親」になるためにはこのチャチャ入れを抑止しなくてはならない!
子供に友達が出来ようもんならすぐさま引っぺがし、先生に何か吹き込まれないよう絶対学校には通わせず子供部屋に押し込むのだ!
「子供部屋に押し込んでどんな大人になるか分かったもんじゃない!」って児童相談所に言われたって怖気づいてはいけない!前段で述べた通りそもそもどんな大人が幸せかなんて分からないのだから、いいんだ!
これで完璧な「いい母親」の出来上がりだ!
ぅぉおおおおおお!
…こほん、興奮してしまいました。以上です。
「いいお母さんになりたい」なんて、考えない方がいいかも。
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