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ナンバーワンよりオンリーワンか
いや、オンリーワンよりナンバーワンだろう。
よくナンバーワンよりオンリーワンというフレーズが耳に入ってくる。
SMAPが歌い始めたころからだろうか。
槇原敬之が「花屋の店先に並んだいろんな花を見ていた」時に発明されたフレーズだろう。
言いたいことは分かる。確かに僕達はDNAレベルでユニークな存在だ。数えきれないほどのDNA配列の組み合わせパターンは無限大であり、「そもそも特別なオンリーワン」であることは自明だ。
なので、「ナンバー1になれなくても、そもそもオンリー1なんだから元気出して。」という自己肯定感を高める効果を期待するフレーズだろう。
だがここで「オンリーワンだから何?」と、穿った見方が出来なくもない。穿らずに見るのであればしっかり実利に伴った「オンリーワン」の魅力が説明できればいい。
さて、ではオンリーワンの魅力とは何かというと、「オンリーワンもナンバーワンである」ということである。
つまり、
ナンバーワンはいわずもがな、ライバルがN人いる範囲でのナンバーワンということだが、オンリーワンは単に、ライバルがゼロ人の範囲でのナンバーワンということだ。
もっというと、
「今から〇〇選手権を始めます!出場選手の方こちらにお並びくださーい。え?あなただけですか?…じゃああなた優勝ーー!」
ということである。
勝負に勝つ方法は自分が努力する方法と、ライバルを減らす方法の二つがある。努力することで得られるものが「ナンバーワン」で、ライバルを減らすことで勝つのが「オンリーワン」である。
非常に合理的だ。コスパよく勝負に勝っている。槇原敬之はかなり合理的なビジネスマンなのだろう。
だがしかし、ナンバーワンになって得られる価値は、「オンリーワン」より「ナンバーワン」の方が高い。
なぜなら、「オンリーワン」の勝負というのは参加者が自分だけ。つまりは「自分以外誰も挑戦しないほど勝つことに需要がない」ということなのだ。
それに対して、「ナンバーワン」の勝負というのは、「誰もが挑戦したいほど勝ったら需要がある」ということになる。
勝ったときに得られるものはやはり、「オンリーワン」より「ナンバーワン」なのだ。
ここまで考えてきて、SMAPのあの曲のサビ「ナンバーワンにならなくてもいい」という言い方は秀逸だということがわかる。
「ナンバーワンにならなくてもいい(ナンバーワンにこしたことないけどね)」という意味が隠せる表現だからだ。
いやはやよく考えられている。
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