見出し画像

喧嘩して家から出ていくか

夫婦喧嘩の定番「うるせえ!バタン!」と言って家から出てっちゃうというパターンがある。

これはアンガーマネジメント的には悪くない対応だろう。なぜなら、時間を置いたほうが頭が冷えるからだ。

怒りのメカニズムとして、まずは脳の扁桃体という部分がオラオラーって活発になり、いわゆる「怒り」状態になる。

その後、脳の前頭葉という部分が、「まぁまぁ」と言って扁桃体をなだめて怒りが収まるようにできている。

なので家を出ていくというのは悪くない。前頭葉さんが動き出すまでのリードタイムを家を出ていくことによってかせぐのだ。

だがしかし、フィールド全体で見るとあまり良くないかもしれない。残されたほうの怒りが収まらないからだ。

出ていった方は自分の自由意志で出ていったので怒りは癒えやすいが、残された方は「何あいつ勝手に出ていったんだムカつく!」といった具合で、「相手が居ない」という怒りの発生源が残り続ける。怒りは癒えにくい。

さらに状況をややこしくさせるアイテムが、チェーンロックだ。「何あいつ勝手に出ていってんだ!上等だ!必殺チェーンロック」と言って、扁桃体がチェーンロックを深々とかけることを命令する。

一方、家を出ていった方は前頭葉さんが無事動き出し、怒りが収まってきて「悪いことしたな、帰って謝ろう」となっている。

家の前まで来て玄関で深呼吸し、いざドアノブを引いた瞬間、ガタンと言ってチェーンロックがかかっていることに気がつく。

「ぐっ、流石に残酷だ!勝手に出ていったのは俺だが、こんな寒空の下外に締め出すなんて人間の所業ではない!鬼!悪魔!許さんぞぉぉぉ」

となり、また扁桃体さんが活発に動き始める。

いやはやこうなると膠着状態だ。出口戦略が見当たらない状態となる。当分の間、何の解決にも至らないままお互いに不毛な怒りの連鎖に見舞われ、情けない状態になる。

なんだかこの出ていく作戦はあまり良くない気がしてきた。なので、絶対に出ていかないようにしよう。

とはいえ、その場では正常な判断はできない。なので、子供に審判をやってもらい、以下の注意事項を試合前に入れてもらうことにしよう。

「万一試合会場をでていった場合は棄権とみなし無条件で相手の勝利が決まります。出ていった方の怒りは冷めるが残された方の怒りは収まらないためチェーンロックをかけてしまうリスクが発生するためです。チェーンロックをかけてしまうと残された方の怒りは冷めるが今度は出ていった側の怒りが復活し、強いては泥試合となり不毛なエネルギー消費を招きます。なるべく出ていかないこと。いいね!ではフェアプレーに努めるように!試合開始!」

カーン!

試合開始のゴングはAmazonで買っておこう。


いいなと思ったら応援しよう!

のろさとし | 実業家 | 製造業 | システムエンジニア
よろしければサポートをお願い致します💦