サンタを存在させる②
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「良い子にはサンタが来る」システム
今まで日本という国は縦割り社会が極まり、サンタ庁はサンタ庁内で閉じた情報しかアクセスできなかったため、「良い子にはサンタが来る」を演出するのには限界があった。
しかし、デジタル庁が新設されてからは、各庁を横断する情報共有システムが構築され、学校の生活態度等が連携され、それにより子供に与えられるプレゼントの上限金額が決められるようになった。
ちなみに、これが平等権の侵害に当たるとして当時の社会派弁護団が訴訟を起こしたが最高裁で敗訴している。
「プレゼントを配る」のは郵政
子供に配られるおもちゃは、厳正にチェックされ、「クリスマスプレゼント対象商品」としてサンタ庁のHPよりPDFをダウンロードできる。
だが、実際にプレゼントを選定する公務は郵政事業庁が行っていた。なぜなら、「プレゼントを配る」という行為は郵政事業庁が代行するからだ。
あらかじめ決められた期日までに決められたフォーマット(クリスマスプレゼント応募様式1号)をサンタ庁HPよりダウンロードして記入し、郵便局に持っていくことでサンタさんがクリスマスにプレゼントを持ってきてくれることになる。
郵政民営化されてからは、子供がポストにサンタさん宛の手紙を入れると応募代行してくれる郵政サービスが人気を博している。
当時の郵政事業庁は国家公務員のためもちろん接待や賄賂は禁止されていた。1984年、大手おもちゃメーカーの当時の汚職事件は総理の辞任にまで発展した。しかし、郵政民営化され民間業者になり接待が横行したため、独自に「贈収賄防止方針」を定め、コンプライアンスを徹底したのは記憶に新しい。
郵政民営化時、数百兆を超える郵便貯金が民間に流れる問題にフォーカスされていてあまり話題には上がらなかったが、「クリスマスプレゼントを配る」事業は赤字のため廃止されるのではないかと噂が広がり、既得権益である「クリスマスプレゼント対象商品」に載っているおもちゃメーカーは最後まで郵政民営化に反対した。
郵政民営化のワンイシュー解散総選挙をしていた与党は、バックボーンでもあったおもちゃメーカーの組織票を失うことは避けたかったため、
郵政民営化法に、「クリスマスプレゼントを届ける」ことも「ユニバーサルサービス」に加えることで票を確保した。
当時のクリスマスプレゼント訴訟にて平等権侵害を問われた時にはユニバーサルサービスに加えられることはなかったのに、既得権益のために加えられたのは皮肉な話である。
サンタ政教分離訴訟
1991年、サンタがクリスマスプレゼントを贈るというキリスト教を源流とする行為を国政で行うことについて、憲法の定める政教分離の原則に違反するとして訴訟が起きる。
この時は一審二審と違憲判決が出たが、最高裁にて一転合憲判決となった。「既にクリスマスプレゼントをサンタさんが持ってくるというイベントは宗教の域を脱しており、国民に深く根付く日本の文化となっている」という解釈であった。
当時のバブル崩壊は「プラザ合意」が原因と言われているが、この時の一審違憲判決時におけるおもちゃメーカーのストップ安も原因の一つと見る専門家もいる。
また、続く1992年、今度は、「クリスマスプレゼント」を持ってきてほしくない信仰の人が、税金を納めることによって間接的にキリスト教を容認する形になっていることに関し、信仰の自由の侵害を問われた裁判が行われたが、同様の「国民に深く根付く日本の文化」という理由で棄却されている。
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