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「ゼロ・コロナ」から「ウィズ・コロナ」に舵をきったベトナム

 コロナ感染予防のため、市内での運行が禁止されていたバス、タクシーの運行が先日ようやく再開された。私も早速タクシーに乗車した。運転手は「社会隔離の間、家でじっとしていた。仕事に出られるのがこれほどうれしいとはね」という。

 不要不急な外出するな、買い物も3日に一度にせよとの規制は2週間程度なら耐えられもするが、2、3ヶ月もとなると限界がやってくる。ベトナムは補助金や給付金が出るわけでもない。日銭で毎日生活している人も多い。蓄えがなければ生活は成り立たない。

 社会隔離でも感染が拡大したホーチミン市と異なり、ハノイでは隔離の効果で感染は大きく広がらなかった。やりすぎだとの声もあったが、お陰で感染の恐怖を味わうことはなかった。ホーチミン市では私の知人が夫婦揃ってコロナで亡くなった。訃報を伝えてくれたベトナム人の友人は感染が猛威をふるっている時はコロナに感染しないかと本当に怖かったという。

 ホーチミン市や近郊の省での感染は収束する方向にあるが、地方の省では感染者が再び急増している。毎日の感染者は5千名を再び超えた。ベトナム政府は大規模な社会隔離は今後実施せず、感染者があっても世帯単位で隔離はしても地域での隔離は実施しないと明言している。感染者はやむを得ないとしても重症者、死者を出さないようコントロールができるのか。経済を停止させずに感染を低く抑えるという難しい課題にベトナムは直面している。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2021年11月号掲載

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