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ホーチミン主席をたたえるプロテストソングの数々

1960〜70年代に子供時代だった私の友人の記憶では、フォークシンガーの高石ともやがベトナム独立の英雄ホーチミンを讃える歌をうたっていたという。早速調べてみた。高石ともやの歌を集めたCDを探してみたが見当たらない。インターネットで検索したら、すぐに出てきた。高石ともや「ホー・チ・ミンのバラード」がその歌だ。

「遠い海の向こう/東の海の向こう/インドシナの父と呼ばれる/その人の名はホーチミン」という歌詞で始まり、歌詞の終わりに必ず「ホーホーホチミン」というリフレインが続く。幼かった友人はこのリフレインを覚え、口ずさんでいると親から「アカの歌などうたうな」と叱られたという。

この歌はイワン・マッコールという英国の歌手が一九五〇年代に作った歌で、英語の歌詞を高石ともやが翻訳して日本語で歌った。レコードは一九六九年に販売されている。イワン・マッコールという歌手は米国のプロテストソングを歌ったピート・シガーの妹ペギー・シガーを妻とした人だ。英国共産党の党員でもあった。

歌詞はホーチミンが船員として海外に出てからインドシナに戻り、外国の侵略者から自由を取り戻すまでをうたっている。

ピート・シガーにもホーチミンの歌がある。「Uncle Ho」という題名の歌だ。ホーおじさんを教師にたとえ、彼から教訓を学ぶべきは、例え互いに意見の違いがあったとしても銃を撃ちにいく必要はない、どの国の兵士も「いやだ、俺たちは(戦場に)行かない」といえばよいのだ、とうたう。

チリのビクトル・ハラも1971年「平和に生きる権利」という歌の中でホーチミンを登場させている。

「生きる権利/詩人ホーチミンよ/彼はベトナムの地から/全人類の心を打つ/どんな大砲にも消せはしない/君の稲田に刻まれた畝を/平和に生きる権利を(千葉泉訳)」

ビクトル・ハラは一九七三年ピノチェトによる軍事クーデターにより拷問の上に虐殺された。

日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2022年3月号掲載

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