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井上智公
2024年11月16日 19:54
「わかりみが深いわね」 辛子が頷きながらそう言うと、甘彦は小さく首をひねりながら、「でもおかしみはないよね」と言った。 それはけっして楽しい話題ではなかったが、そんな中にも常におかしみを求めるのが甘彦だった。昼飯時のファミレスは混雑していて、なかなか注文の品は届かない。「でもおかしみが入ると、わかりみが減るじゃない」 辛子はおかしみとわかりみは、相反する要素だと思っている。「いやおか