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不規則な公転周期で踊り続ける
公転周期(こうてんしゅうき、英語: orbital period)とは、ある天体(母天体)の周囲を公転する天体が、母天体を1公転するのに要する時間のこと。
2024年4月16日、私の人生はひと回りしたな、と実感する日だった。
先日、愛するBUMP OF CHICKENの5年ぶりに発売されたアルバム「Iris(アイリス)」が届いた。
そしてそのアルバムの初回版には2024年2月から開催されたツアー「BUMP OF CHICKEN TOURホームシック衛星2024」のファイナルのライブ映像がBlu-rayで付いてくる。
新しいアルバムはもちろんのこと、このBlu-rayこそ私が待ち望んでいたものだ。
私はこのツアーの宮城公演1日目に参戦させてもらった。
愛するうんぬんと言いながら、このホームシック衛星2024が私の初のBUMP OF CHICKENのライブ参戦だった。
愛を持っている人が必ずライブへ行きたいという気持ちを持っているわけではない。
愛はいろんな形がある。
ライブに行ったことがなくたって、グッズを持っていなくたって、配信日に新曲をきかなくっても、なんか好きならそれは愛だ。
Blu-rayのライブ映像は私が参戦した宮城公演が収録されているわけではないけど、手元に届くことで、やっとあの日のことが現実的だったんだなと心にストンと座ってくれるような気がして。
「ホームシック衛星2024」は
約17年前に発売された「orbital period」というアルバムを引っ提げたツアーだった。
発表された時の言葉にできない胸の高鳴りは忘れない。
orbital periodとは公転周期。
人間誰しも28歳の誕生日は生まれた曜日と同じになる。
28年でひと巡り。
これは説明すると長くなるので、詳しいところは藤くんに任せましょう。
17年前当時、メンバー全員が28歳ということもあり、おおいに盛り上がった。
ちなみに私はこの事実を2年前くらいに知った。
愛してるとか言っておいて。
でもこの事実を知ってからこそ愛が深くなったのは確かなのだ。
そして2024年はBUMP OF CHICKENが28歳になる年ということで、リバイバルツアーが決定した。
このツアーは私の為にあるのではないか?と思うほど、勝手に運命的なものを感じて、これはなんとしても絶対に参戦したいと思っていた。
2007年発売のorbital periodには格別な思いが私の中にはある。
17年前というと私は18歳。
18歳ってなんとも瑞々しい響きだ。
高校3年生で受験生。
受験生活でくすぶっていた時に
兄の部屋から勝手に借りたCD。
CDだけパクってきたので、歌詞カードはない。
なので誰が歌ってて、何曲入ってて、タイトルは何なのか、はわからないままリピートしていた。
そして兄が帰ってきそうな時間帯には元の位置に戻す。
そんなことを繰り返しているうち、
大学を目指していた私は美容専門学校へ進むことに決める。
誰のために、
何のために、
誰が決めた道にいるのか。
そんなの
私の為に、
私が生きていく為に、
私が決めた道にいるべきなんだ。
そうBUMP OF CHICKENは教えてくれた。
あの時こそ、
人生を左右しただろう瞬間だと思う。
これからの人生、何度だって思い出すだろう。
そして迎える4月16日、宮城ゼビオアリーナでのホームシック衛星2024。
始まる前、心臓が口から出そうだった。
前から9列目の花道近くの席、というメンバーを肉眼でしっかり拝めるということも理由のひとつだったけど、何よりも、私がここに立っているということに心拍数があがっていた。
17年前、高校生3年だった私は、
いま34歳になって、
その時に決めた道の延長に立っていて、
ひとりでこの会場まで来たこと。
ここに立っている私は、
なりたいものになって、
夢を叶えて、
誰かに連れて行ってもらわないとどこにも行けなかった18歳の私じゃない。
見たいものを見に、
聴きたいものを聴きに、
どこまでだって行ける。
34歳の私だ。
始まったらもう
出てしまった心臓を喉の奥に戻す暇はない。
全身の水分は全て出し切ってしまったように感じる。
高まる臓を押し込む。
人が一生のうちに打つ鼓動の数は決まってるというけれど、この日確実に少しだけ寿命が縮まったと思う。
涙で前が見えなくって、その日なんとか買えたタオルはもう重くなっていて。
BUMP OF CHICKENは、
17年前も、今も、
ずっとずっと私に向かって同じことを歌ってくれてた。
お前は自分の足で立てる、
たぶん大丈夫だよ、と。
あの日たしかに、
隣の席に座っていたのは18歳の私だった。
一緒に来れたね、
今日までよく歩いてきたね、
生まれてきてよかったね、
あの時、私を信じてくれてありがとう。
これが私の公転周期なんだと思った。
18歳だった私と34歳になった私がまた出会って、これでひと回り。
どうやら私の公転周期は不規則ならしい。
早かったり、遅かったり、
次は何に出会う?
誰と出会う?
机に向かって未来と向き合っていたあの日から、
BUMP OF CHICKENは私の周回軌道上にいる。
私もまた、BUMP OF CHICKENの周回軌道上に乗れているだろうか。
そして明日2024年9月8日、
私はまた彼らと待ち合わせをしている。