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令和桃山時代

日本人は世界でも稀に見る、多くの種類の食器を使う民族だと言われています。陶磁器、漆器、ガラス器などに四季折々の自然や花鳥風月が美しく表現された和食器だけでなく、洋食器も巧みに取り入れ、季節や料理の温度などによってうつわを使い分けます。
また絵画や季節の草花によって室内を装飾したり、料理そのものを季節の草花によって彩るなど、相手をもてなすために整えるしつらえも日本の食文化ならではと言えるでしょう。

そして、この繊細で洗練された食文化の舞台となる場所と言えば、まさしく「京都」です。先日私は、そんな京都に位置する名店「ごだん宮ざわ」さんの招きを受け、コラボレーションディナーを開催する機会に恵まれました。


客単価は1人4万円前後という価格設定が示すように、そのディナーのクオリティは極めて高い物が求められます。販売開始と同時に60席すぐに満席となり、美食の地・京都と南の島・沖縄の食文化が、初めて交わる瞬間の重要性を、私自身吐き気すら覚えるほどのプレッシャーとともに強く感じました。

しかし、その結果は非常に価値あるものとなりました。「沖縄」と「京都」、二つの食文化がこの令和の時代に同じ土俵で重なり合うことができたことに、私たちは大きな意味と価値を見出すことができたのです。

「本物の世界」を象徴するような、総額何千万円もする古美術や作家作品、そして器などが並ぶ中で、店主の宮澤さんが「想いを重ねる文化」と称したのは、まさに令和の時代だからこそ可能な交流を表していました。そして、その交流から生まれる新たな時代を「令和桃山時代」と名付けた彼の言葉は、その強烈さに私の肌を引き締めるほどでした。

大いに成功したこの会は、すでに第二回の開催が来年に予定されています。さらに、次回は多くの料理人が尊敬する東北の料理人も参戦し、深まり続ける想いがさらに重ねられることとなります。これこそが宮澤さんが言った「ご縁を重ねると大きな円となる」の実体化で、彼が語った「令和桃山時代。それこそが最先端」という言葉が印象深く、その精神性と先見性に感動させられます。

この異なる食文化の交錯は、新たなイノベーションを生む始まりであり、そこにはさまざまなヒントと大きな可能性が隠れています。

戦争と食文化は切っても切り離せない関係にあり、アジアでも最高の立地にある沖縄は、その立地から常に戦争の真っ只中にあり、常に変化せざるを得ない環境でした。
その過去を深掘りすると実は、かつての沖縄には素晴らしい琉球料理があり、その豊かさは各国と堂々と対等に立つ力となっていたのです。

その琉球料理を令和の時代にイノベーティブとして復活させ、食の中央で堂々と交流できたのは、誰もが知るべき大きな功績だと自負しています。

異なる文化が交わり、それぞれが新たな価値を創造する過程に、我々はさまざまな学びと新たな視点を得ることができます。

何よりも僕は最高の友人達と出会えた事が財産でした。

それではまた来週!

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