誰も想像できない。嘘つき×三角関係×ミステリー『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に』
三角関係をテーマに描かれた本作はメインの登場人物3人が3人とも嘘をついている。
この作品は同名の小説を原作に描かれた漫画だ。
この小説には原案というあまり耳にしないクレジットが存在する。
もう何年も前になるが当時私は書店員として働きつつ、文庫の復刊や既刊の装丁プロデュースを行いヒット作を作ってく中で「こんな話なら今の読者の心をつかむのでは?」とういストーリーの要素が見えてきていた。
その話を「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」などのヒットミステリー小説を書いている作家の佐藤青南先生にしたところ、面白いね!となり生まれたのがこの「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」だ。業界初の取り組みだったこの作品は、発売後瞬く間に重版を重ね、発売半年頃には5万部を突破した。
この作品はどこまでも優しい男と、可愛くて元気で優しい女と、綺麗で熱心に自分を愛してくれる女の3人の物語。この表現にはひとつも嘘はない。しかし言葉から受ける印象と作品の彼らの「その言葉に対する印象」は全く違うと断言できる。
これは読んでいただいてのお楽しみなのだがそんな特殊な作品を繊細で美しく、しかし強い感情の表現が出来る鳥島灰人先生がコミカライズしたのが今回紹介する漫画版の「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に」なのだ。
嘘が複雑に絡み合い、物語は誰も想像できない結末を迎える。
表面と内面とそして嘘。
「どんでん返し」「最終話で物語が姿を変える」「伏線回収」そのすべてが詰まったこの作品を、鳥島先生は丁寧に漫画に落とし込み、その表現を昇華させている。
最終回を読んだあと、きっと1話目からこの作品を読み返し読者の心を存分に震わせるであろうこの作品。
現在発売中の上巻を読んで次巻の発売を待っていて欲しい。