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「本日、三次元に使う精液は1ccたりともない」『同人王』知られざる同人世界 これを読めば同人世界の本質がわかる!!

さて、いよいよ夏本番、そうです、夏コミの季節です。夏コミなにそれ美味しいの?という人はこちらの記事をどうぞ。

コミケットとは?
はじめで参加したコミケでは、忘れもしない中学生の頃… 早朝からe○とかを作っていた某m社の列に並ぶも、13時までまったく動かず。携帯の電池は切れて友達と連絡とれない、飲み物も切れる、それで貰ったのは手ぬぐいだけ… 「これがコミケか…」悔しくて、次からは毎回徹底した装備で参加するようになりました。「2年前の設営日(コミケは初日の前日にボランティアが設営しています!誰でも参加できるのでぜひ、一緒に設営をしましょう!!)」

あれから10年いろいろな人にコミケの話をしてきました。するとこんな言葉をよく耳にするのです。

友人:「一度くらいは行ってみたい。」
私 :「おっおう・・・。そうだね、いつか参加できるといいね。」

この言葉はほとんどが社交辞令…。個人的にもつらいだけだからやめておけと心底思います。というか、夏コミは遊びじゃないよ!?と声を大にして言いたい。しかし!!この漫画は安易にその発言をする人たちにこそ、ぜひ読んでもらいたいのです。

この漫画を一言で表すのなら、

「同人とは何か、そのすべてを凝縮した漫画」です。

シナリオは王道漫画です。主人公のタケオは漫画家志望のニート。しかし編集者から「才能がない」と言われ、漫画家を諦め同人誌作家の道を志します。そして、タケオはヒロインであり、師匠である肉便器先生とともに、ライバルの真一を倒すべく、枯れ果てるような努力(笑)を重ねる…。タケオと真一の勝負と肉便器との恋の行方は?

「同人王に俺はなる!!」

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『同人王』(牛帝 /太田出版)より引用

ではここで、私が「この漫画は同人をわかってる!!」と感じたシーンを3つご紹介します。

① 来場者がとにかくガチ
コミケと言えば来場者の多さが注目されがちですが、本当に怖いのは最前列の人たちなのです。コミケにはチケットという制度があり、チケットを使うことで一般の入場者より先にはいることができます。そして、そのチケットを駆使して最前列に並んでいる人たちの姿と、開場後に走るシーンがこちら

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『同人王』(牛帝 /太田出版)より引用

己のすべてをかけてコミケに望むその光景は私が始めてコミケに参加したときから何一つ変わっていません。これがコミケの日常です。嘘だと思うのなら、ぜひ確認しに有明(戦場)に来て下さい。平和な国日本で唯一の戦場が東京に出現します。

② 売れるか売れないかそれがすべて
コミケでは毎回3万ものサークルが同人誌を出してしのぎを削ります。同人誌を売るためにはそのときの流行を捕らえ、人の目に留めてもらうことを追求し続けなければなりません。そのため、タイトル詐欺、表紙詐欺といわれる同人誌が大量に出回りますが、その中から至高の1冊を見つけることこそコミケの楽しみの一つでもあるのです。

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『同人王』(牛帝 /太田出版)より引用

悲しいかな、気がつくと有名サークルが入れ替わる。使い捨て芸人のようです。流行ジャンルの本はとにかく売れます。最近はその息がさらに短くなってきていますが、6割のサークルが赤字と言われる中であれば、当然の選択と言えます。ただ、参加者にはぶれずに自分のパワーをぶちまけるものを厳選して欲しいですね。

③ いらない同人なんてない
最後に、同人誌には色々な種類がありますが、何一つとして欠けてはコミケは成立しませんし、一度として同じコミケはありません。

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『同人王』(牛帝 /太田出版)より引用

コミケを中心に紹介してきましたが、同人に色々な人の本気の想いが交差している本気の文化です。現在では台湾やアメリカなど海外でのイベントも多くなってきています。そして、そこにある想いを凝縮した漫画こそがこの『同人王』なのです。ぜひ読んでみてください!!

全世界のオタクの同人活動に幸あれ!!!

WRITTEN by 荒井 健太郎
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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