メインでありながら「負けヒロイン」という業を背負った新感覚ヒロイン誕生『姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い』
【レビュアー/澤村晋作】
みなさんはラブコメ漫画好きですよね。
さて、そんなラブコメ漫画を読んでいると不思議な現象がありませんか?
メインヒロインよりサブヒロインの方が人気が出る、アレです。
1・判官びいき! サブヒロイン
メインヒロインは往々にして、スタンダードなキャラ付けをされているものです。
例えば、積極的過ぎる性格であれば、物語開始時点で主人公とくっついてないとおかしいですし、逆に消極的過ぎても親しい距離感が作れないので、その中間になるしかない。そういった具合に、性格や体型など様々な要素が中庸になりがちです。
一方、サブヒロインはメインヒロインに対するアンチテーゼ的存在です。
中庸の相手が持っていない、普通でなはない要素を持つがゆえに、非常に尖っているのですね。メインヒロインが黒髪なら金髪、転校生なら幼馴染、学生なのにグラマラスなど。
その結果、強く読者の印象に残って人気が出やすいのかもしれません。
あるいは、恋愛という戦いにおいて負けることが分かっているからこそ、判官びいきの心を呼び覚まされるのかもしれません。
ならば、サブヒロイン属性を全部盛りしたメインヒロインならどうなるでしょうか?
2・不憫は可愛い! メインヒロイン
そう、表題である姫ヶ崎櫻子とは、メインヒロインでありながら負けヒロインという業を背負わされている新感覚ヒロインなのです。
1巻の帯の宣伝文をそのまま引用しますと、
「巨乳×幼なじみ×金髪ツインテ」
「最強」であり「最弱属性」の「ヒロイン」
とあり、まさにそれが姫ヶ崎櫻子なのです。
つけ加えるなら、自信満々でプライドが高く、そのせいでひどい目にあう子です。(そう書くと高飛車な大金持ちのお嬢様キャラっぽいけど、普通の子です)
櫻子は、もちろん主人公(作品としての主人公は櫻子ですが、ラブコメにおける主人公的ポジションの男子の意)に思いを寄せているのですが、そんな二人の前に現れたのが、榊雪菜。
クールな黒髪ロングの少女であり、櫻子と好対照となっているのですが、突然、主人公と同居することになるメインヒロイン的存在です。
榊と主人公は、衝突しながらもいい感じの距離感になっていき――
私は??
となっているのが櫻子なんですねえ。いい……。
・まとめ
そんな負けてる感を、うすうす自覚しているがゆえに、なんとか主人公を振り向かせようと頑張っては失敗したり、プライドが高すぎて引くに引けなくなっていったり、だいたいひどい目にあってし(自業自得で)……。
しかし、実は――
それは読んでみてのお楽しみ。
勝ち負けで見ているからこそ、見えなくなるものもあるのかもしれませんね……