「ちち しり ふともも」で時給250円!?日曜朝史上最高のお色気アニメ『GS美神 極楽大作戦!!』をいま振り返ろう!
この記事は、以前「マンガ新聞」に掲載されていたレビューの転載記事です。(編集部)
もう20年以上前の事ですが、日曜日の朝8:30にテレビの前で正座してかぶりつく様に見ていたアニメがあります。
学校に行く時よりも早起きして毎週欠かさず見ていた伝説のアニメ。ボディコンのお姉さんが動き回るその姿に、小学生ながら背徳感を感じていました。親と一緒にこんなにエロい番組を見ていて良いのかと。こんなムチムチなお姉さんが日曜日の朝から放送されて良いのかと。数多くの紳士の皆様が性に目覚めた瞬間だったのでないでしょうか?
はじめましての人もそうでない人もこんにちは!株式会社ナンバーナイン代表の小林です。
漫画界の二大成長キャラと言えば『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の大魔導士ポップと『GS美神 極楽大作戦!!』のハンズ・オブ・グローリーこと横島忠夫の二択になりますよね、そうですよね? 間違いない!!
ゴーストスイーパー(GS)とは悪霊や妖怪などが当然の様に認知されている世界で、それらを鎮めたり除霊したりする霊能者のことです。
漫画『GS美神 極楽大作戦!!』は、悪霊や妖怪の退治を仕事とする、ゴーストスイーパーの美神令子(守銭奴ボディコン)、その助手の横島忠夫(煩悩バンダナ)、まともだが幽霊のおキヌ(正当派巫女装束)、この3人を中心とした日常のドタバタや、悪霊・妖怪との戦いを描く傑作オカルトコメディです。週刊少年サンデー史上最高の名作はこの『GS美神 極楽大作戦!!』か『うしおととら』のどちらかと言っても過言ではない、超名作なんです!
その中で「ちち しり ふとももー!」と、時給250円で下僕の様に働いていたGS見習いの横島が霊力に目覚め、美神をも超えるその成長ぶりに、胸をときめかした読者は多いはずです。
最後の方とかもう横島が完全に主役でしたもんね。ルシオラとの切ない恋とかもう2晩は語れますよ、僕は! 一緒に夕日を見ましょう。
※『GS美神 極楽大作戦!!』には横島を筆頭に非常に魅力的なキャラクターが多数登場します。(今でも僕の中の歴代ヒロインTOP3にはルシオラが入ります。)
『GS美神 極楽大作戦!!』(椎名高志/小学館)より引用
しかし『GS美神 極楽大作戦!!』の最大の魅力は、まるで短編映画を観ているかの様な非常に完成度の高い1話ごとに完結するストーリー構成にあります。
それは漫画のサブタイトルを見てもわかります。
「誰が為に鐘は鳴る!!」や「ストレンジャー・ザン・パラダイス!!」「ある日どこかで!!」「ネバーセイ・ネバーアゲイン!!」など過去の名作映画のタイトルから、サブタイトルを引用しているのです。これ、完全に狙ってますね。
サブタイトルだけではなく、『GS美神 極楽大作戦!!』には随所にパロディ要素が散りばめられています。元ネタを知っている人は思わずニヤっとしてしまう、その絶妙なパロディセンスが本当に大好きで、僕のレビュースタンスなどに多大な影響を与えています。(お約束のジョジョネタを始め、毎回必ず何かしらのパロディネタを入れているので探してみてください。)
「誰が為に鐘は鳴る!!」での横島の成長や、「スリーピング・ビューティー!!」での最後の1コマ、「ジャッジメント・デイ!!」での昼と夜の一瞬のすきまなどなど、本当に数多くの名作エピソードがあるのですが、その中でも僕が一番好きな話は「ある日どこかで!!」というエピソードです。
ネタバレになってしまうとアレなので詳細は割愛させて頂きますが、最後にマリアがドクター・カオスに伝えたこの一言が、今でも鮮明に記憶に残っています。
『GS美神 極楽大作戦!!』(椎名高志/小学館)より引用
まるで映画のワンシーンをそのままコマ割りに落としたかのようなストーリー構成は、期待を良い意味で裏切らない、エンターテイメントの王道と言っても良いでしょう。
最後に、
大切な事は全て『GS美神 極楽大作戦!!』から教わりました。
僕はこの作品から多大な影響を受けており、パロディ文化だったり、お約束と言っていい定型文だったり、本当に出会えて良かったと思える作品でした。性にも目覚めましたし。
「心は・いつも・あなたと・共に」
――――それだけです。
『GS美神 極楽大作戦!!』は連載25周年を迎え、現在は文庫版でも発売されています。
他「週刊少年サンデー」で連載中の、椎名高志先生の漫画『絶対可憐チルドレン』や、レビュー記事内に出てきたタイトルも合わせてどうぞ。
WRITTEN by 小林 琢磨
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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