清原さん、コロコロアニキの『いつかのホームラン』読んでみてください。 『かっとばせ!キヨハラくん』の河合じゅんじ先生の作品です。
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/角野信彦】
コロコロアニキで連載中だった『かっとばせ!キヨハラくん』が休載になりました。いろいろな報道があり、ここで事件のことは繰り返しません。
ただ、河合じゅんじ先生の描いた『いつかのホームラン』が素晴らしかったです。
僕は、アマチュアが「美しく」、プロが「汚れて」いるとは思いません。
お互いが生活を掛けて生存競争する中で、野球というスポーツが進化してきたことは紛れも無い事実だからです。ただ、そのプレッシャーが「甲子園は清原のためにあるのか?」と言われた、あのハツラツとした姿を失わせる一因になったのだとしたら、それは悲しいことですね。
ひとついえることとして、生活をかけた生存競争のなかで、なにかを始めるきっかけになった、原初的な動機を失わずにいることは、とても難しいということなのでしょう。そうしたことを自分ごととして考えることは、いつも難しいのですが、きっかけにしないといけないのだろうと思います。
『かっとばせ!キヨハラくん』のレビューでも書きましたが、河合じゅんじ先生の作品は未来を予測することで有名です。
作品で描かれているように、キヨハラくんとクワタくんがいつか現場に戻って、監督として対決することを願っています。
ちょっと、しんみりしてしまいましたが、実は、コロコロアニキは絶好調です。4月号には、ビックリマンの「ブラックスーパーゼウス」のシールがおまけに付いていますし、巻頭では、高橋名人が「ゲームは1日1時間」と叫んでます。『高橋名人物語』も再録されていますし、われらがうめ先生の『東京トイボックス 特別編 1987年の中学生』も掲載されています。
1巻が発売されたばかりの、『コロコロ創刊伝説』も、ガンダムブーム、コミックボンボンの追撃にどう対応したかという佳境に入ってきています。
実は、僕が最初に買ったマンガ雑誌はコロコロコミックの創刊号です。1977年、小学1年生だった僕は、200ページも『ドラえもん』が掲載されているコロコロの魅力にやられたひとりでした。自分が愛読していた雑誌の舞台裏を、『コロコロ創刊伝説』で読み、ブームを起こすときのチームについて知ることは、大人になった自分にもとても意味がありました。
「高橋名人がコントローラーにバネをしこんで、連射速度をごまかし逮捕された」という都市伝説について、31年後に真実を知ったのも衝撃です。気になる方はぜひ。