ホリエモンおすすめグルメ漫画!『舞妓さんちのまかないさん』は心を芯から「ほっこり」させてくれる。
※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/堀江貴文】
ほっこりする、ほんとにほっこりする物語だ。
『舞妓さんちのまかないさん』の舞台は京都の花街。
花街を彩る舞妓さんのほとんどは未成年だ。大抵は中学を卒業して親元を離れ、置屋と呼ばれる、いわば舞妓の芸能事務所のような場所で共同生活を送っている。
彼女たちは舞妓を卒業し、芸妓になるまでその場所で共同生活を送ることになる。
昔は舞妓が置屋を出ることを「水揚げ」といい、富裕層の旦那衆がスポンサーについて出るのが通例だった。
それまで地毛で髪を結っていたが、断髪式をして「黒髪」という芸妓になる時にしか披露しない舞を踊る。
その間の、大変な修行期間を送る舞妓の汗と涙の場所が、この作品の舞台である。
キヨさんが持つ不思議な力に癒される
主人公のキヨさんは舞妓に憧れて青森から出てきた16才。
一緒に出てきた同級生は晴れて舞妓デビューしたのだが、鈍臭いキヨさんは舞妓失格の烙印を押されて、実家に帰ることを余儀なくされる。
しかしそんなとき、それまで置屋でまかない飯を作ってくれていたおばちゃんが腰を痛めて引退。
急遽ピンチヒッターで「まかないさん」として、同年代の舞妓さんたちをサポートする役目を授かったのである。
相変わらずキヨさんは鈍臭い。
でも、周りは化粧を落としたら年頃の食欲も盛んな女子たちである。
彼女らの悩みやストレスを受け止めながら、キヨさんが一生懸命頑張ってまかないを作る姿を見て、周囲の舞妓さんたちは癒されているのである。
美味しい、食事の持つ力なのだろう。
そんなキヨさんがお休みをもらい、花街では御法度とされているカレー(客の男たちに家庭を想像させる匂いを出してはいけないとの配慮から)を、わざわざ元まかないさんのおばちゃんちに行って自ら作るシーンなどが健気だ。健気すぎるのだ。
グルメ漫画は多数あれど、これほどまでに「ほっこり」させる漫画は他では見たことがないと、断言できる。