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パートナーと私の4つの約束~パートナービジネスを始める上で心得ておくべきこと~


01.はじめに

はじめまして、カオナビの高岡です。

主催のパートナーサクセス(株)さんにお誘いいただき「パートナーセールスアドベントカレンダー:12/19(月)の回」を担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

タイトルは愛犬家の私が大好きな映画からインスパイアを受けて決めました。パクリではないです。インスパイアです。

パートナーセールスアドベントカレンダー2022/12/19

自己紹介

「人に名を尋ねるときはまずは自分から」
ということで簡単に自己紹介をさせていただきます。

・新卒でキヤノンマーケティングジャパンへ入社。新規の飛び込み営業からスタートし、新卒2年目からパートナーセールスとして大手複合機系パートナーを約7年担当

・その後Salesforceのパートナー企業であるtoBeマーケティングへ入社。フィールドセールスとして、Salesforce製品のインプリやライセンスリセールに従事(パートナービジネスの立上げもちょっこっと)

・2019年より現職のカオナビに参画。エンタープライズのフィールドセールスを経て、パートナー組織の立上げ・強化に従事。現在に至る

新卒ではじめて出会ったパートナービジネスというお仕事。
振り返ってみれば、はからずも社会人人生のほとんどの時間パートナービジネス(成熟組織でのサクセス活動、0→1フェーズの立ち上げ、アライアンス)に携わってきました。

最近では、ご縁も重なって、各SaaSベンダーのパートナーセールスの皆様にお声がけいただき、パートナービジネスの情報交換をさせていただく機会も増えてきました。

そんななかで、
・パートナー組織の立ち上げを担っているほとんどの方が、経営陣から白羽の矢が立ってミッションを実行している
・一方で、会社や経営陣からの十分な後ろ盾がなく社内で孤立しがち
という実態が多いことを目の当たりにしました。

↑を受け、本noteでは「パートナービジネスを始める上で心得ておくべきこと」をテーマに書くことにしました。

パートナーセールスの方はもちろん、パートナービジネスを始めるぞ!とお考えになっている経営の方々がこちらの記事に目をとめる→パートナービジネスの立上げを担う方々の後押し・追い風になる。そんなnoteになれば。という願いと想いを込めて執筆いたします。

若輩者の私ではありますが、少しでも皆さんのお役に立てる情報をお届けできていれば幸いです🎄🎁🎄


02.カオナビってどんな会社?

本題に入る前に少しだけ私が所属している『(株)カオナビ』の紹介をさせてください。

カオナビは、2012年に事業を開始し今年(2022年12月現在)で10年目を迎える会社です。「カオナビ」というタレントマネジメントシステム(SaaS)を開発・提供しており、おかげさまでタレントマネジメントシステム市場で7年連続シェアNO.1(※1)、2,500社以上(※2)のお客様にご利用いただいているサービスとなっております。

※1:ITR「ITR Market View:人材管理市場2022」人材管理市場- ベンダー別売上金額シェアで7年連続1位(2015~2021年度予測)
※2:2022年3月現在

「カオナビ」のサービスサイト

03.パートナー組織の立ち上げ

カオナビでは、事業開始当初より直接販売(「THE MODEL」型)でお客様への営業活動を行っておりましたが、より多くのお客様に「カオナビ」というサービスを知っていただくために、2020年4月にパートナー様との取引拡大・関係強化を担う専任組織として「パートナーセールスグループ」を発足しました。

パートナーサクセス社の皆さんとの交流をきっかけに、
・パートナーサクセスという概念・職種をもっと世の中に広めていきたい
・パートナーさんにサクセスしてもらいたい(そのままですがw)
という想いから2021年10月にはグループの名称を現在の”パートナーサクセス”グループに変更しました。

組織発足から、はやいもので約2年半。
パートナーの皆様の多大なるご支援と、グループメンバーの頑張りもあり、十分とは言えないまでも一定の成果がだせるようになってきました。
※ありがたいことに「決算が読めるノート(有料)」でもカオナビのパートナーについて触れていただきました

先々でご支援いただいた皆様には、この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

カオナビのパートナー様向けLP

さて、パートナービジネスについて、さまざまな企業様と情報交換をさせていただくなかで「パートナービジネス立ち上げ時に、具体的にどんなことから手をつければいいの?」というご相談もよくいただくのですが、

結論、パートナーサクセス社が公開しているホワイトペーパーがとても良質な内容になっているので、こちらを参照されるのが一番かと思います。

基本は↑に書かれていることを素直に・実直に実施いただければ、まず間違いはないと思います。

また、弊社のパートナー組織立ち上げの詳しい話については、以下のサイトを参照いただけたら幸いです。
私の記事については、正月に暇で暇でしょうがないという方がいらっしゃいましたら読んでみてください。
田中の記事は、暇でなくてもぜひ読んでください。"楽しそうな"田中をご覧いただけます。

■組織立ち上げまでの話(私の記事)

■組織立ち上げからの話(MGR田中の記事)


04.本題:パートナーと私の4つの約束~パートナービジネスを始める上で心得ておくべきこと~

以下本題です。

自分自身の苦い経験や他社のパートナーセールスの皆様とのお話を踏まえて、大事なことなのに意外と漏れてしまっている心得ておくべきことを4つにまとめてみました。

心得とは、家でいうところの基礎部分にあたります。基礎作りを疎かにてしまうと、その上にいくら素敵な建物を建ててもいつかは傾いてしまいます。

なかなか上手くいかないなー。
そんなときは、この4つの心得のどれかが欠けているかもしれません。

<パートナービジネスを始める上での4つの心得>
ⅰ、会社方針としてパートナービジネスへコミットを
ⅱ、パートナービジネスはすぐに成果がでるものではない
ⅲ、ベンダーとパートナーは対等な関係である
ⅳ、自社の成功ではなく、まずはパートナーの成功を考える

ⅰ、会社方針としてパートナービジネスにコミットを

ベンダーが本気になっていないのに、パートナーが本気になって(売って)くれるわけはありません。

パートナーは、日々様々なベンダーから新規商材の提案を受けており、取り扱う商材は多岐にわたります。数あるサービスの中でどのベンダーとお付き合いをするかを判断をする際に「このベンダーはどれだけ自分の会社に本気になってくれるのか?」というのは、パートナー契約を締結するか否かの判断基準のひとつとなります。

ベンダーの担当者が本気で取り組んでいるというのは大前提なのですが、担当者がいくら本気だと訴えてもそう簡単に相手には伝わらないものです。

そんなときに、ベンダーとしての本気度を示す一つの指標が「会社方針としてパートナービジネスにコミットしているか否か」です。この後ろ盾があるだけで、ベンダー担当者が心置きなくパートナーと対峙することが可能となります。

IR、パートナー向けLP、パートナー制度など、対外的にパートナービジネスへのコミットを示せるものを用意すると良いと思います。

もうひとつ、本気度を示すという意味では案件バッティング時の方針も重要だと思います。パートナービジネスにコミットをする以上は、直販とパートナーとでバッティングをした際は「パートナーに譲る」くらいの気概が必要です。

もちろんケースバイケースではありますが、会社としてはパートナーに売っていただく立場であるということを忘れてはいけません。
直販を優先することで「なんだ結局直販で売上げたい会社なんだ。」とパートナーの目には映ってしまいますし、ともするとパートナービジネスにコミットする方針と逆行する印象を与えかねません。

特に契約初期はパートナーとの関係がまだ出来上がっていないこともあるので、こうした気概をもった決断も非常に重要になると考えます。

また、パートナー組織の立上げミッションを担う方を社内で孤立させない。
という意味でも、会社方針としてパートナービジネスをやるという意思決定を示すのは重要です。

特にこれまで直販中心で成長してきた企業にあっては、パートナーは異質の存在です。直販に割いてきた貴重なリソースをなぜ海の物とも山の物ともつかぬパートナーに割かねばならぬのか。と、つい周りも非協力的になってしまうというのはよくあることです。

一方で、パートナー組織を立ち上げる上では、法務・経理・マーケ・IS・FS・CS・デスクなど社内の様々な組織の協力が欠かせないのも事実です。
白羽の矢が立ったにもかかわらず、本気になっているのは自分だけで気づいてみると周りからの協力が得られず、孤立してしまう。

そんな方を生み出さないためにも、パートナービジネスをやるのであれば、経営陣がコミットをしてパートナービジネス立ち上げについて会社として後ろ盾をする。そんな環境を社内で用意してあげることが大事だと思います。

ⅱ、パートナービジネスはすぐに成果がでるものではない

一部の例外ケースを除き、パートナービジネスを始めてから期待する成果が得られるまでには、相応の時間がかかるものです。光が見えてくるだけでも2〜3年はかかるのが普通だと思います。

しかし、経営陣がこのことを理解せずに垂直立ち上げを期待し、期待するスピード感での成果が得られないからとネガティブな印象を持ってしまう。それゆえに、人員リソースの投下など必要な投資をしぶってしまうというお話をよくお聞きします。

期待をするのはとても素敵なことですが、短期間で成果が出ないからといって、担当の進め方が悪いのでは?パートナービジネスってそんな言うほど売れないじゃない。と早期に見切りをつけてしまうのは、もったいないと思います。

パートナー契約完了したのだからすぐ売れるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、パートナーはそんなにすぐ売ってはくれません。

契約締結後、しばらくしても売れないなーと思ってパートナー担当者に話を聞いてみたら契約したことを知っているのは窓口の方だけだったというのはあるあるです。

一定の成果が出るまでのステップを大まかにまとめるとこんな感じになります。

<ステップ>
契約完了→周知→教育→案件化→提案活動→初実績化→実績習慣化

契約完了がスタート地点に立ったにすぎないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

加えて、↑のステップをパートナーが自発的に実行してくれることは稀ですので、実行に向けてはベンダー側が地道かつ泥臭い支援を継続して行う必要があります。

しかも、↑のサクセス活動をひとりで営業を兼務しながら対応していたり、専任ではあるものの1人パートナーサクセスという状態で対応していたりするので、どうしても時間がかかってしまうのです。

パートナービジネスを成功させたいのであれば、成果を急ぎすぎず、時間がかかるものと割り切ること。
その上で少しでも早い成果を期待するのであれば、それなりのリソース(ヒトモノカネ)を投下していただくことを強くオススメします。

ⅲ、ベンダーとパートナーは対等な関係である

ベンダーが偉いと勘違いしてはいけません。
「売らせてあげている」というスタンスが滲みでてしまっているベンダーさんを見かけることがありますが、これでは絶対にうまくいきません。
パートナーには「売っていただくのであって、売らせてあげているわけではない。」このことを肝に銘じる必要があります。

4にも関連する部分ですが、↑のスタンスゆえにパートナーにとってまったくメリットがない契約条件を提示していたり、意図せず失礼な態度でパートナーと向き合ってパートナーのテンションを激萎えさせてしまっている。というのはよく耳にするお話です。

逆も然りで、パートナーが偉いわけでもありません。
なので、パートナーに必要以上に謙ることもしない方がよいです(敬うことは大事)。パートナー側の力が強くなりすぎて、今度はパートナー側が売ってあげている。というスタンスになってしまう可能性があるためです。無理難題を押し付けられてしまったり、ベンダーにとって好ましくない契約条件を提示されてしまうこともあります。

それぞれが足りない部分を補完し合うことで、1社では実現できない価値・メリットをお客様に提供する。
その実現のために、互いに尊重しあい手を取りあっていける対等な関係。それがベンダーとパートナーのあるべき姿であるというのが私の考えです。

ⅳ、自社の成功ではなく、まずはパートナーの成功を考える

パートナーを動かすには、パートナーの事業拡大に自社のサービスがどう貢献できるかを徹底的に考え、自社サービスを取扱うことでパートナーの成功にどう寄与できるのかというストーリーを描くことが必要不可欠です。

このストーリーが描けていないことで、そもそもパートナー契約に至らない、パートナー契約をしても案件の相談が1件も来ない。という状態が起きているケースがあります。

裏を返せば、このストーリーが描けないパートナーとの協業は上手くいかない可能性が高いともいえます。

例えば、BOX社と富士フィルムイノベーション社との協業は、このストーリーの描き方が秀逸な事例です。

両社の強みを活かしつつ、足りない部分を補完し合うことで新たな付加価値をお客様に提供できています。

富士フィルムとしては、単なる複合機の入替というありきたりなセールストークではなく、ドキュメントソリューションという新しい切口でお客様に入り込めますし、メイン事業である複合機とそれに紐付くオプションソリューション、そしてBOXも抱き合わせで販売可能となります。
私がもし富士フィルムのセールスなら、ガンガン売れるイメージを持てます。そして売ります。

同様に、セーフィー社とキヤノンマーケティングジャパン社の協業も両社のメイン事業のシナジーが上手く噛み合っており、とても良いストーリーが描けていると思います。

すべてのケースでここまで綺麗なストーリーを描くことは難しいかもしれませんが、少なくとも自社のサービスをただ売って欲しいと願うだけではパートナーは動いてくれません。動くメリットと動機がないからです。

・そのサービスを売ることでお客様への提案の付加価値が高まる
・そのサービスを売ることでパートナーのサービスが売れる
・そのサービスを売らないとパートナーのサービスが売れない
・そのサービスを売るとパートナーが儲かる
・そのサービスを売るとパートナーのセールスが評価される

などなど、パートナーが何を望んでいるかも踏まえながら、ベクトルを自社ではなくパートナーに向けて、常にパートナーがどうやったら成功できるかから考える心構えがとても大事だと思います。


05.最後に

ここまで私の駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
偉そうに書いてきましたが、私自身日々勉強勉強の毎日です。
パートナーサクセス×SaaSの世界にこれをやれば大丈夫という正解はないと思っていますし、こちらのnoteで書いたこともあくまで現時点での私の一意見にすぎません。

広くアンテナを張り、時には会社の垣根を越えて情報交換をしながら、自社にあったやり方を模索してアップデートしていくしかないと思っております。

パートナービジネスに携わっている方は、職業柄かとにかく良い人が多いです。そして、皆さん情報に飢えていますw
情報交換に気軽に応じてくれますし、利他精神の塊!!というくらいオープンに話してくださいます。

私も微力ながらいただいたものを還元していければと思っていますので、この記事を読んで高岡と情報交換してみたいという方がいらっしゃっいましたら、お気軽にご連絡下さいませ。

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