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2024ベルリン観劇記録(14) 1984

2月24日ベルリナー・アンサンブルにて23/24の新作『1984』。ジョージ・オーウェルのいわゆるディストピア小説を元にした演劇。好きな小説の上演を観られるのは嬉しい。ジョージ・オーウェルの没後70年を経過しているためか、上演が増えているようだ。来週はヴィーンで『動物農場』の新作オペラを観る。


演出 LUK PERCEVAL
舞台美術 PHILIP BUSSMAN
衣装 ILSE VANDENBUSSCHE
音楽 RAINER SÜSSMILH
振付 TED STOFFER
照明 RAINER CASPER
ドラマトゥルギー SIBYLLE BASCHUNG
出演 PAUL HERWIG, GERRIT JANSEN, OLIVER KRAUSHAAR, VEIT SCHUBERT, PAULINE KNOF, ELLA KASTNER, FRANZISKA WINKLER, ANNUNZIATA MATTEUCCI, PHILIPPA OTTO, HANNAH ROGLER

 1944年、ジョージ・オーウェルは「全体主義の恐ろしさは、残虐行為ではなく客観的真実という概念を攻撃する点にある。過去と共に未来の決定権を要求する」と書いた。『1984』に登場する架空の全体主義体制である〈ビッグ・ブラザー〉の理論指導者オブライエンによると、真実は常に人間の意識の中にのみ存在する。(…)

https://www.berliner-ensemble.de/inszenierung/
1984

 

12€でこの視界


 ベルリナー・アンサンブルのメイン劇場は三階席まで完売。わたしは三階後ろから2列目のほぼ中央、12€。現在のレートで2,000円、コロナ前なら1,500円だ。距離はあるが段差がしっかりあるため非常に観やすい。
 わたしが原作小説を好きなのは、極端に語彙を減らされた新共通語〈ニュースピーク〉によって思考の幅が狭められ、人間が統一管理されている安全安心な社会のグロテスクな姿を描いているからだ。本公演では、管理されることで曖昧になる自意識を中心に表現しているようだった。常に四人の男性が演じるウィンストン・スミスの言葉は、四重唱のように重なりあい、追いかけ合い、音楽的である。鏡面に映り拡散する自我、あるいは重層的な〈真実〉の揺らぎ。ミザンが絵画的で美しい。シンプルだが効果的な舞台美術、ある美学に貫かれ統一感のある上演。わたしの耳には聞き取るのが難しい部分も多かったが、集中力が切れることなく、最後まで興味を持って観ることができた。三階席まで常に惹きつける俳優たちの吸引力が素晴らしい。

インターバルの間
4人が同じテキストを順に繰り返す
インターバルが必要なほど長い上演ではないので
ずっと聴かされるのは苦痛だからと
インターバルにした、のかも

ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!