見出し画像

【もしドラ】派遣後の職場復帰について

こんにちは、Masakiです。
今回は都庁から民間企業などに派遣された職員が、都庁に戻った時にどんな職場復帰の仕方をするのかについて書きたいと思います。

背景

私がそもそもなぜこのタイトルの記事を書こうかと思ったのか。
最近、嬉しいことに私のnoteを見たと言っていただく機会も増え、記事を読んだ方から意見やご質問を受けることも増えました。
そんな中でこんな質問がありました。

Q:東京都は最近多くの職員を国内外問わずいくつもの組織に派遣しておりますが、派遣後の職場復帰については円滑に組織に戻れるようなプログラムが用意されているのでしょうか。都庁と派遣先での文化の差が大きくなればなるほど、派遣先で得た経験を都庁に持ち込みづらくなり、人材育成としての効果は半減するのではないでしょうか。また、それがきっかけで人材流出につながってしまっては、派遣目的を達成できないのではないでしょうか。

とある質問者さんより。

たしかに、東京都が当てはまるかどうかは分かりませんが、一般的に、異文化の組織に派遣された人材が本社に戻った際には、’組織への再適応’という壁を乗り越える必要があるといわれています。また、再適応するためには組織的なバックアップも必要になりそうです。
原因としては、「海外赴任によって、「新しい視点」を身につけることは、有意義なことではありますが、それが帰任後の違和感、失望感につながってしまうこともあるのです。」ということですが、気になる方は以下の記事をご覧ください。

さて、派遣を経験したことで得られる’新たな視点’について、東京都ではどのように取り扱われているのでしょうか。

東京都においては、都政課題の解決には、新たな視点を取り入れ政策を生み出すことが重要だと小池都知事も都議会で表明しております。

◯小池知事
時代が加速度的に変化する中で、人々の価値観には大きな変化が生じるほか、都市の成熟化によりまして、社会課題の多様化や複雑化が進んでおります。こうした状況におきましては、これまでの常識や発想にとらわれることなく、積極果敢に政策を展開していかなければなりません。これまで、チルドレンファーストの子供施策、また、脱炭素に向けたHTT、東京グリーンビズによる新たな緑のまちづくり、アクティブ長寿社会の実現など、全庁横断的な検討によりまして施策の充実を図ってまいりました。都政課題の解決に当たりましては、未来を見据えました鳥の目で全体を俯瞰し、そして新たな視点で政策を生み出すことが重要でございます。都民のニーズを的確に酌み取るとともに、常に時代の先を読んで、先手先手で施策を練り上げる、そして東京の持つポテンシャルを最大限発揮して、誰もが輝く未来の東京を実現してまいります。

令和6年予算特別委員会(第3号) 本文 2024-03-13

さて、私は既に民間企業に一歩を踏み出してしまいましたが、今回はもう一つの人生として、
もし私が東京都の中に戻っていた場合に、どのようなバックアップ体制があれば組織に経験を還元できるのかという視点で記事を書いていきたいと思います。また思考方法は前回の問題解決の型に当てはめて考えていきたいと思います。

1 何が問題になっているのか明確にする

今回の問題(現状と理想のギャップ)の整理としては以下となります。

現状:社会情勢の変化を通じて複雑化・困難化した課題が増えている中で、海外派遣や民間派遣などを通じて新しい視点を得た人材を積極的に育成・活用しようとしている
目指したい姿:派遣人材が帰任した後、視座高くかつ新たな視点を持つ人材として東京都の組織で活躍してもらうこと
問題:多様な経験をした人材をどのように配置・活用したらいいのか明確でない(派遣される人も帰任後どのような活躍をさせてもらえるのか知らされていない)

2 問題を洗い出す

帰任者の円滑な職場復帰(派遣人材の効果的な活用方法)を確立しないことが、なぜ問題なのでしょうか。
以下は私の見解です。

最大の課題は、現在特に注力して実行しているシントセイに関する施策など、’新しい視点’が必要な分野に対して、風通しの悪い状況が生まれ、従来の考え方の延長線上による都政改革の実行をしてしまう可能性があるということです。最悪の場合には、大量の時間や労力を注いだにもかかわらず、「これまでの都庁と何が違うの?」といった質問が登場してくる場面も出てくるかもしれません。
様々な知見や経験を積んできた派遣者を効果的に活用することが、常に時代の先を読んで、先手先手で施策を練り上げることへの大きなバックアップになるのではないでしょうか。

なお、問題の捉え方は一つではありません。
「誰が見るか」、「見る人の置かれた状況や基準・考え方」によって、問題の捉え方は異なります。上記はあくまで私の捉え方となります。

3 対処すべき問題の真の原因を探る(問題の構造化)

帰任者が抱える’組織への再適応’という壁には、どんな項目があるのでしょうか。本人の壁と職場環境の壁の2つに分けて考えてみました。

このように構造化してみると、
・派遣者は派遣後の明確な活躍ビジョンが持てないまま派遣されている(出口のない状態で派遣された場合、得られるスキル・経験は目減りしてしまう)
・派遣先から戻ってきた後は、東京都の従来の視点をかいくぐりながら職務を遂行しなければならない
・派遣先の経験が職場で活かせずに自己スキルとして埋没してしまう
というような状況が見えてきます。
そのため、真の原因・問題解決は、「派遣者の経験を都政に効果的に還元するための方法はなにか」となります。

4 真の原因を踏まえて解決策を決定する

解決策を検討するうえで、現状おかれている状況を整理しました。

解決策立案までのストーリー
仮説に対する解決策

上記の提案をしたポイントは以下です。

  • 派遣人材は視座も高く、都庁外で活用されている仕組みなどを、様々な人脈等を通じて効果的に発見し、それを都庁版として取り込むためにはどのようにすればいいのかを提案することができる。つまり、東京都の政策目的に合致する貴重なノウハウ等を円滑にキャッチアップし、適合する形に変換することができる。

  • 都庁の文化と都庁外の文化のハイブリッドによる視点で物事を見定め、’都庁にとって役立つ新しい視点’を各職場の職務に精通した職員と生産的な議論を重ねることができる。それにより、視野広くかつ深い思考により検討された政策へとアップデートすることができる。

  • 派遣する前からこのような部署が存在することで、派遣先から戻った後のキャリアプランをイメージしながら、派遣先での活動に注力することができる。

上記のような取り組みを通じることで、冒頭の小池知事の発言にもあった、「東京の持つポテンシャルを最大限発揮して、誰もが輝く未来の東京を実現」というビジョンに向かうことが出来るのではないかと思います。

なお、東京都においては既にシントセイ重点強化方針2024の中で、「新たな発想で仕事の進め方を抜本的に見直し」すると掲げておりますので、どのような組織運営に生まれ変わるのか注目です。

出典:都政の構造改革ポータルサイト シン・トセイ重点強化方針2024  ~より質の高い行政サービス( QOS )と「政策× DX 」の推進へ~

最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?