あなたのフィルター越しに見えていることが大切な誰かの光になるかもしれない話
「ちょっと待って?あなたの目、とってもきれいね。」
これは、昨年私が、接客のアルバイトをしていたとき、お客さまから言われたひとこと。このひとことが、今も私の大切なお守りになっている話を記録として残したい。
私は今、キャリアブレイク中。そう言えるようになったのも、ここ最近のこと。
2023年春。私は勤めていた比較的大手のIT企業を卒業し、肩書きというものもなくなり、さてこの先どうしていこうか、と模索していた。時間はたっぷりあったから、その頃起業していた知人のお手伝いで、接客のアルバイトを期間限定ですることになった。
接客業は学生の頃、某アパレル企業でアルバイトをしていた以来。今回は少し違った分野だし、慣れない環境に緊張しつつ、社会との繋がりをまた持てるような感覚で嬉しかった。
私は、とある商業施設の一角に立つことになった。
実際に店頭に立ってみると、お客さまはなかなか来ない。その割に覚えることがたくさんある。同じ売り場に立つベテランの方々からは、普段は何をしている人なの?と質問される。でもうまく答えられない。
自分って、なんなんだろう。
あれ、私はなぜここにいるんだろう。
安定した収入も肩書きも無くして、何がしたかったんだろう。
掃除に整理、やることを見つけても、ぼーっとする時間がたっぷりあって、そんな思いが駆け巡る。
つい、不安に自分を明け渡し、それによって押し潰されそうになっていたときだった。あの言葉をもらったのは。
シニアとお見受けするごふうふがやってきた。
気になられている商品があるとのことで私が説明をしていると、
「ちょっと待って?」と遮られ、私を見つめながら(正しくは覗き込む感じで)、「あなたの目、とってもきれいね。」と。
「え、目ですか?!」私はびっくり。だって、そんなこと言われたことがないもの!
「大人になっても、こんなにきれいな目をした人、初めて見たの。キラキラして、こどもみたい!本当にきれい!」
「あ、ありがとうございます。///」
あまりに真っ直ぐ言われたものだから、私は恥ずかしくなってきてしまった。仮に自分が同じように思ったとして、見知らぬ相手に伝えるだろうか。
結局、商品はご購入いただき、最後はごふうふに改めてじっと目を観察されてからお見送りしたのだけれど、突然のことで、私はしばらく胸がドキドキしていた。
嬉しい。
率直にそう感じた。でもしばらくして冷静になると、
売り場の照明がうまく当たっていたのでは・・?
透明だけどコンタクトしていたからか?目薬さした後だったっけ・・
とか色々、浮かんできたりもした。
でも今日、この出来事から少し時間が経っても、こうしてnoteに記録しているのは、仮にごふうふの勘違いだったとしても、その時そう見えて、それを私に伝えてくれたことが、今も私に温かなものとして残っているから。
もしかしたら、その時他に誰かが居合わせて、その誰かからしたら、私の目はきれいに見えなかったかもしれない。
あの時交わした言葉、今も思い出すと感じる温かさ、それを現実にあるものとするかどうかは、伝えてくれたごふうふと、受け取った私次第。
私はそれを "あるもの" として、これからも大切にしたい。
今回はこの出来事を切り取ってnoteに記録しているけれど、これまでの人生の中でも、受け取ってきた数々の言葉で大切なものが、たくさんある。
同時に思うのは、私が今まで何気なく渡した言葉も、渡した相手にとっては大切に感じてくれていることがあるかもしれないということ。
もちろん傷つけてしまったことも、あったと思うけれど。
自分の目の前に広がっているあらゆる事象に対して、自分が感じていることを他の誰かも同じように感じているかというと、そうとは言い切れないし、何が正しくて間違っている、とかそういうものではなかったりする。
ただ、心を突き動かす何かがそこにあったとき、私は愛を持って、それを "あるもの" として、表現しようと思う。
それが大切なあなたにとっての、光となるかもしれないから。