無題

アーティストは2,3歩先を往く。

何でもかんでもビジネスビジネスっていう考えが嫌いなので、

冒頭から「アートとビジネスは異なるもの」「実利的には直結しない」と断言されていて、一気に引き込まれた。

それを踏まえた上で、アート思考ってなに、ビジネスとはどうつながるの?と掘り下げていく。


目まぐるしく変わる価値観に対応しながらサービスを提供するということは、いわば頻繁にクライアントが変わるということ。
その時、個々のクライアントから投げられる問題をいちからデザインして解いていくのには限界が来る。
ならば、

クライアントたちに共通する問題を先回りして考えて作りだせばいい。

その考え方が、自分を取り巻く社会や環境の問題点をいち早く探り、
孤独にひたすら自己探求を続ける「炭鉱のカナリア」とも呼ばれるアーティストの思考と結びつくという。私のような凡人が考えている事の、2,3歩、いやもっとか、それぐらい先を行くアート思考だから、現代アートって良く分からんわけだ。
そして、分析の時代は終わった。もっと内側、根本的で本質的な問いを立てようと提案する。
もっとも、この作業はそんなに簡単に得られるものではないから往々にして困難を伴うけどね、と。確かに。

本書では、わからないものに対して自分なりに粘り強く考え続ける態度がアート思考の本質であると断言する。
アートもビジネスも一日にしてならず。ため息が出そうになるが、
それが現代アートに深く触れることで鍛えられるという著者の主張を読んで希望が湧いた。
私にとってはビジネスとは!と考えるより、わからんなりにも現代アートを鑑賞することの方がはるかに楽しいから。

ロジカルに考えても、デザインしても越えられない壁は、アートで飛び越えろ。

本書を読むだけで、既に1つブレイクスルーできる本。
ビジネスと美術、両方の目が養えて素晴らしかったです。

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