NO.88 マレイ・ペライヤの弾くバッハを聴く時間に就いて
友人がマレイ・ペライヤの弾くバッハの協奏曲を集めたアルバム(2003年録音)を紹介していたので、僕も聴いてみた。
とても爽やかで無限の安心感があるアルバムだった。
僕はペライアの弾くバッハが好きで、初めてバッハの鍵盤音楽に目覚めたのはペライアの弾く《イギリス組曲》。
10年ほど前にブログにこんな風に書いていた。
上記のブログで、ペライヤがインタビューの中で音楽についてこんな風に語っているのを再発見して、
「音楽は完全な世界を体現してみせてくれる。言い換えれば、それは不協和音の世界が解決をみる世界です。そして、旅の終わりで、満ち足りて終わる世界。主音で終結するからです。私たちの実人生ではそのようにはいかない。しかし、音楽のなかでは、そうした完璧な世界を思い描くことができる。そして、調和から切り離され、満たされることがなく、不協和音が解決されない私たちに、音楽は自分の人生を育む精神的な豊かさを与えてくれる。音楽が人をよりよき人間にするとは私は思いません。しかし、何かしら他では得ることができない、内面的な充足をもたらします。そのようにして、音楽は完璧な世界への道に繋がっているのでしょう。」
10年前にも感じたことだけど、このペライヤの言葉の中には、何故彼が弾くバッハの音楽を聴くことはが心の安らぎにつながるのかを考えるためのヒントがあるようです。