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今年6月、個人事務所 ■Maru’s Branding Factory■ をそっと立ち上げました。 代表/ブランドキュレーターの丸毛(まるも)です。

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最近の記事

「光らぬ君の物語」

いずれの御時にか 父が有名な政治家で 妻も有名なアナウンサーで 若くて多少見栄えが良く 一見弁舌爽やかなれど 中身はスカスカな 一人の男が 総裁候補No.1 という国がございました 民より選ばれし参議どもも かの男の中身がないことを 皆知りつつも かの男を神輿に担げば 次の「選びの宴」にて みずからもまた選ばれんと思い 票をいれようとします 民もまた凝りもせずかの男に 考えもせず期待などしつつ 「選びの宴」にて票をいれ 国の行く末泡沫のご

    • ハイドシェックの弾くフォーレの夜想曲を聴く

      1936年フランスに生まれたピアニストのエリック•ハイドシェックはかつて音楽評論家U氏があまりに絶賛•神格化してしまったのでちょっと距離を置きたいピアニストだったけれど、若き日の《フォーレ夜想曲全集》だけは以前から手元にあった。 今朝、何気なくウォークマンに入っていたその演奏を聴き始め、端正にして気品に溢れたその音色に魅せられた。 録音は1960年-62年、ハイドシェック24歳-26歳の頃。 フォーレの音楽にはどこか霧の中を彷徨うような風情があってそれがある種の魅力だけ

      • 河合優実、アイドルになる

        今朝、宇宙人ジョーンズが登場するサントリー「クラフトボス」のCM最新作で河合優実がアイドルになりきり、名曲「なんてったってアイドル」を披露する動画を見た。 これはまさに「河合優美の時代」を象徴するようなCMだった。 河合優美の歌う「なんてったってアイドル」は、小泉今日子がアイドルを相対化して歌った1986年の原曲以来ようやく現れた「歌唱によるアイドル批評」だと感じた。 「アイドル=無垢」という構造を逆手に取った小泉今日子の「なんてったってアイドル」の戦略は、YOSASO

        • 「見えないものを見る」ということ 十文字美信氏の作品に就いて 

          週末の9月7日(土)、資生堂ギャラリーで開催中の展覧会 ■「空想の宙(そら) 『静寂を叩く』 大乗寺十三室|十文字美信」展 https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/7381/ 関連イベントの十文字美信氏と美術史家・写真評論家 の伊藤俊治との対談イベントに参加した。 ある意味、十文字美信という写真家の創作の原点に迫るようなとても充実した内容の対談だった。 今回の展覧会に登場する大乗寺客殿(兵庫県美方郡香住町)は別名「応挙寺

          朝ドラ『虎に翼』で描かれた原爆裁判

          2024年9月6日、朝ドラ『虎に翼』において1963年(昭和38年)12月7日に言い渡された原爆裁判の判決が描かれた。 結果的に判決では国内法上も国際法上も被爆者の損害賠償権は棄却された。 しかし、ドラマでも描かれているように、実際の判決においても、異例なことながら、主文の前に下記の趣旨の判決理由が述べられた。 (ドラマにもそのシーンは正確に反映されている) 「広島市には約33万人の一般市民が、長崎市には約27万人の一般市民がその住居を構えていたことは明らかである。し

          朝ドラ『虎に翼』で描かれた原爆裁判

          弦楽四重奏編曲版のフォーレの歌曲が秋の空気を連れてくる

          長くこの国の上にとどまっていた台風10号が消えてから季節は一気に秋に移り変わったよう。 昼間はまだまだ陽射しも強く暑いけれど、朝、新聞を取りにマンションから玄関を出ると涼しいを通り越して「寒っ…」と感じる。 あまりの酷暑からの変化に少し身体がついて行かず疲れが抜けなくて、昼食をとりソファーで本を読んでいるといつの間にか眠ってしまう… 今日は本を読みながら、フランスの若い音楽家が2012年に結成したヴァン・カイック四重奏団による《弦楽四重奏によるフランス近代音楽》(202

          弦楽四重奏編曲版のフォーレの歌曲が秋の空気を連れてくる

          岡田暁生氏の『西洋音楽史講義』(角川ソフィア文庫)を読み、ルネサンス音楽に目覚める

          台風の進路はふらふらと定まらず出かける予定がキャンセルになったりやむなく延期にしたりする落ち着かない日々が続く。 今週末は自宅近くで家族の用事をしたり、合間に岡田暁生氏の『西洋音楽史講義』(角川ソフィア文庫)を読み、取り上げられている中世やルネサンス時代の作曲家の音楽をSpotyfiで検索して聴きながら過ごす。 この本は元々NHK放送大学のテキストとして刊行されたものを文庫化した本で、とても簡潔に西洋音楽の歴史が語られていて読みやすい。 特に、普段あまり耳に接することの

          岡田暁生氏の『西洋音楽史講義』(角川ソフィア文庫)を読み、ルネサンス音楽に目覚める

          『虎に翼』のメインテーマ《You Are so Amazing》に泣く

          8月27日放送のNHK「うたコン」の番組の中で『虎に翼』で、優三さんが出征する直前、寅子と別れるシーンで流れるメインテーマ《You Are so Amazing》をStuart Murdochが歌った。 元々とても好きな曲で、番組の中でこの曲が流れると泣かずにはいられなかったけれど、今日の放送で日本語の歌詞を読み、その内容がドラマの内容のエッセンスのような歌詞だったのを知り改めて泣きそうになった… この曲を聴きながらふと、ジョン・レノンの歌う名曲《イマジン》(1988年)

          『虎に翼』のメインテーマ《You Are so Amazing》に泣く

          ほんとうはちゃんと聴いたほうが良いフランス歌曲集をぼんやり聴く朝

          台風10号は当初は今日あたり関東地方に接近するとの事だったから、今日の予定をリスケして自宅に籠もる…予定だったけど、あにはからんや迂回する経路に変わり関東地方への影響は週末になりそうだ… 今は外は晴れているけれど、外出する予定もなくなり、相変わらず蒸し暑くなりそうだから涼しくした部屋に籠もり、アレクサンドル・タローのピアノ伴奏で、ソプラノのサビーヌ・ドゥヴィエルが歌う、19世紀後半から20世紀半ばに書かれたフランスの歌曲集『 Chanson D'amour 』(2020年録

          ほんとうはちゃんと聴いたほうが良いフランス歌曲集をぼんやり聴く朝

          童話「忘れられた王さま」

          「忘れられた王さま」 (『メルモ童話』)より ※画像と本童話の内容は無関係です(笑) 昔むかしアジアの東のはしにとても小さな国がありました。 その国にはソーリとよばれる王さま(みたいな人)がいました。 ソーリは国民からまったく人気がなかったので、まわりにいるトリマキという人たちに「ワシの人気をあげるにはどうすればよいのだ?」と聞きました。 トリマキの人たちは口々に「それはとてもかんたんなことです。ソーリがやめるとおっしゃればよいのです。そうすればソーリになりたい人がど

          童話「忘れられた王さま」

          松岡正剛さんのために

          昨日、劇場版『アナウンサーたちの戦争』を観るためTOHOシネマズ日比谷で日比谷公園の緑を眺めアイスコーヒーを飲みながら入場を待っていた時、スマホのニュースで松岡正剛さん逝去の報に接し、しばし呆然とした。 松岡正剛という名前は学生時代に雑誌『遊』の編集長として耳にしていた。 また、松岡正剛さんは昨年亡くなられた元資生堂名誉会長福原義春氏が社員を対象とした塾にも度々講師として招かれ講演もされていたからその名前は親しいものだったけれど、その著作を入手し耽読したのは1995年に刊

          松岡正剛さんのために

          劇場版『アナウンサーたちの戦争』を観る

          今日の午前中、劇場版映画『アナウンサーたちの戦争』を観た。 昨年NHKで放映されたドラマの映画版だ。 とても深々とした味わいの残る素晴らしい作品だった。  物語は… ☆☆☆ 国民にとって太平洋戦争はラジオの開戦ニュースで始まり玉音放送で終わった。 奇しくも両方に関わったのが 天才と呼ばれた和田信賢アナ(森田剛)と新進気鋭の館野守男アナ(高良健吾)。 1941年12月8日、大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み、国民を熱狂させた。以後、和田も

          劇場版『アナウンサーたちの戦争』を観る

          モニク・アースの「白いラヴェル」

          作曲家ラヴェルの伝記映画『ボレロ』を観て改めてラヴェルの生涯を調べ直したくなり、井上さつき著『ラヴェル』(音楽之友社、作曲家・人と作品シリーズ)を拾い読みしている。 外連味のない堅実な評伝で、各曲の解説も簡潔で明瞭なとても良い文章だ。 この本を読んでいるとラヴェルの様々な曲を改めて聴き返したくなって、今朝は、フランスの往年の名ピアニスト モニク・アースの弾く《ラヴェルピアノ作品全集》(1968年録音)を聴いている。 知的で清潔なモニク・アースのラヴェルの演奏を色彩で例え

          モニク・アースの「白いラヴェル」

          冷静と熱狂のあいだにあるラヴェルを…

          ラヴェルのピアノ協奏曲をいくつかの演奏で聴いている。 映画『ボレロ』に役者としても出演しているアレクサンドル•タローによる演奏も少しひんやりとした味わいの名演だと思うけど、やはり僕が一番しっくりくるのは、サンソ•フランソワとアンドレ・クリュイタンスの共演した1959年のアルバムになる。 何年か前のブログに僕はこの演奏についてこんな風に書いている… この録音当時クリュイタンス54歳、フランソワ35歳。 当時の2人の写真を見るとまるで古いフランス映画の登場人物のように苦み

          冷静と熱狂のあいだにあるラヴェルを…

          ラヴェルの香気

          映画「ボレロ」でフランス音楽熱が再燃し、ラヴェルの弦楽四重奏曲を色々な演奏で聴き比べている。 以前から聴いてきた、ボロディン弦楽四重奏団、イタリア弦楽四重奏団、ブタペスト弦楽四重奏団、アルバン・ベルク弦楽四重奏団を始め、エベーヌ弦楽四重奏団、アルカント弦楽四重奏団のハイスピードで高度なテクニックのある演奏、最近友人が聴いているイザイ弦楽四重奏団… どの演奏もそれぞれ面白く聴いているけれど、今の気分に一番ぴったりくるのは、やはり学生時代から長く聴いてきたパレナン弦楽四重奏団

          ラヴェルの香気

          ラヴェルの伝記映画『ボレロ』と第一次世界大戦志願の謎

          多くの会社が夏季休暇に入っているようで、合わせて三連休が重なり世の中は何となく休暇モード。 もっとも僕は今年3月末に会社を卒業し基本的に毎日が連休だからあまり関係はないけれど… 今日は午前中、作曲家モーリス・ラヴェルの伝記映画『ボレロ』を観る。 芸術家の伝記映画は僕はどうも相性が良くないようで、これまで観た伝記映画は八割位は観終わつた後「うーん…」という気持ちになるので、この映画もちょっと観るのを躊躇っていたけど、友人が観て推奨してくれていたので思い切って日比谷まで観に

          ラヴェルの伝記映画『ボレロ』と第一次世界大戦志願の謎