NO.18「夏の常備薬」としてのケンプのアルバム
昨夜は熱帯夜。
寝苦しく何度も目が覚めた。
冷房や扇風機をつけたり消したり、暑さのせいか苦しい夢をみたりで朝からぐったりしている。
こんな時は(友人も愛聴する)ヴィルヘルム・ケンプの弾くバッハの作品集を小さな音で聴くに限る。
このアルバムは1975年、ケンプ80歳の時の録音で、バッハの「イギリス組曲」等と共にケンプ自身の編曲によるバッハやヘンデル、グルック等の短い作品が収められていて、それがとても良いのだ。
そのなんとも柔らかいピアノの音色が(慈しむようにピアノと対話しているケンプの姿を彷彿とさせ)暑さやらいつ終わるとも知れぬ長い自粛生活やらで疲れた心身に慈雨のように沁みこみ少し泣きそうな気持ちになる。
聴いていると次第に身体のこわばりが弛んでくるようで、気がつけば自然な呼吸が戻ってきているのを感じる。
このアルバムはまさに「夏の常備薬」のようです。
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