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NO.35 ケーゲル指揮によるウェーベルンの《パッサカリア》

昨日(1945年9月15日)はウェーベルンの命日だったと知り、寝る前に僕の持つ数少ないウェーベルンのアルバムから、ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放送交響楽団による《パッサカリア》(1977年録音)を聴き始めた。

この演奏は控え目に言って非常に凄みのある演奏、いやいやはっきり言って狂気をはらんだとても怖い演奏と言った方が良いかも知れない。

音楽は冷え冷えと始まりながら時々ケーゲルの低い唸り声が混じり、クライマックスでは金管は咆哮し、まるで魑魅魍魎が入り乱れるカーニヴァルのような様相を呈する。

冷たいのに熱く、熱いのに冷たいこの音楽を聴いていると、ウェーベルンとケーゲルの共に悲劇的な人生の最期を思い出してしまい胸が塞がるような思いになった。

昨夜はウォークマンで聴いていて、このアルバムの後にヘルベルト・フォン・カラヤン指揮による新ウィーン学派の作品集がかかり、偶然カラヤン指揮による《パッサカリア》と聴き比べることになったけれど、美しく磨き抜かれたその演奏にはケーゲル盤の狂気はなかった。

そして驚いた事にその後イザベル・ファウストの弾くベルクの《ヴァイオリン協奏曲》がかかった。
この曲はウェーベルンの指揮によって初演された曲だ。

後で、どうやら演奏者の名前で検索していて、2人のHerbertからIsabellというアルファベット繋がりでこの曲順になったことがわかったけれど、その偶然に少し慄然としてしまった。

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