ビタミンとミネラルは似て非なるもの。重要な相違点を解説します
ビタミンとミネラルは「体の調子を整える栄養素」として、まとめて扱われることもあります。
けれども、もちろん同じものではなく、大きな違いがあります。
今回は、予防のための栄養補給をするにあたって、知っていてほしいビタミンとミネラルの相違点を解説します。
(記事の文末に動画を添付しています)
一般に知られているビタミンとミネラルの違いは、
「ビタミンは生物がつくり出す有機物であるのに対し、ミネラルは無機物」。
または
「ビタミンは化合物であるのに対して、ミネラルは元素そのもの(最小単位)」
といったことが挙げられます。
しかし今回は、そういうことは横に置いておき、実践レベルで知っておくべき点に絞ります。
では、結論から言ってしまいます。
ポイントは世の常識との『開き』
ビタミンとミネラルの違いは、
「分子栄養学的に望ましい摂取量と厚生労働省が示す推奨量との『開き』が、ビタミンとミネラルとでは違う。
ビタミンの方が圧倒的にその『開き』が大きい」
ということです。
これは単に、ビタミンの方がミネラルより摂取量が多い、ということではありません。
全体的には、ビタミンの方がミネラルよりも多いのは確かです。
しかし、ミネラルにも、カルシウムやマグネシウムのように、数百mgの摂取が必要なものもあります。
逆にビタミンには、ビタミンD、ビタミンB 12、葉酸のように、μg単位という微量なものもあります。
絶対量ではまちまちです。
今回のポイントは絶対量ではなく、
「世の常識とされる摂取量(必要量)に対し、ミネラルは多くても2〜3倍あればよい。
しかし、ビタミンはそれよりも遥かに多くの、十倍以上、場合によっては数十倍の摂取が必要になる」
ということです。
では、この差は何の違いから起こるのでしょうか。
ビタミンもミネラルも酵素を助ける捕因子
ビタミンもミネラルも、体内でのあらゆる代謝(化学反応)を司る酵素をサポートする捕因子です。
下の図をご覧ください。
左側が、素のままの酵素(アポ酵素)です。
この状態では、活性力を持ちません。
ですが、そこに捕因子が結合すると(ホロ酵素)初めて活性力を持ち、代謝活動に働きます。
その点では同じですが、ビタミンとミネラルでは酵素への結合力が違います。
ビタミンは補酵素、ミネラルは補欠分子族
もう一つの図をご覧ください。
捕因子と言っても、いくつかの分類に分かれます。
ビタミンは、捕因子の中の「補酵素」に入ります。
ではミネラルはというと、その補酵素の中の「補欠分子族」に入ります。
ビタミンが属する「補酵素」は、酵素との結合が弱く緩く、一度結合しても一回酵素反応を終えると離れていってしまいます。
次に同じ酵素反応をする時には、また別の補酵素(ビタミン)が必要です。
それだけ、たくさん補酵素(ビタミン)が必要だということを意味します。
一方のミネラルが属する補欠分子族は、酵素との結合が非常に強く、一度くっついたら離れません。
つまり、一つの補欠分子族で何回も酵素反応を起こさせるので、それほど多くの補欠分子族(ミネラル)を必要とはしません。
ビタミンとミネラルの大きな違いは、この点です。
「メガミネラル」はありません
先日公開した上の記事で、日本における分子栄養学の草分け的存在である、三石巌氏を紹介しました。
その三石巌氏が提唱した分子栄養学の3本柱は、
「メガタンパク」
「メガビタミン」
「活性酸素対策」
でした。
ここで「メガビタミン」があって「メガミネラル」がないのは、補酵素と補欠分子族の違い、酵素との結合力の違いが理由です。
サプリメントが必要なのは?
では実際に、そのことが私たちとどう関係あるのかというと、サプリメントが必要かどうか、ということです。
大量に必要なビタミンは、食事からの摂取では限界があります。
サプリメントに大きく依存せざるを得ません。
私の例で話をします。
マルチビタミンですべてのビタミンを補給しているのは当然ですが、それだけでは足りないと考えます。
それ以外にビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの個別サプリメントを飲んでいます。
残りのビタミンB群とビタミンDはというと、さすがに飲むサプリメントが多くなり過ぎるし、予算もかさみます。
そこは、B群とDが強力に入ったマルチビタミンの含有量で「よし」としています。
ミネラルのサプリは飲んでいません
ビタミンほど大量摂取を必要としないミネラルは、私は個別サプリメントを一切飲んでいません
超重要ミネラルであるマグネシウムと亜鉛であっても、食事から意識して摂ることによって、必ずしも個別サプリメントは必要ない、ということを下の記事で記しました。
カルシウムは、そもそもサプリメントで満たす栄養素とは考えていません。
動脈硬化等のリスクがあるからです。
強力な抗酸化力を持ち、ガン予防効果も期待できるセレン。
が、輸入品のマルチビタミンミネラルに含まれる量で、セレンの必要量は摂取できます。
そこに個別サプリメントでセレンをプラスしてしまうと、今度は過剰症が心配になります。
例外があるとすると鉄(鉄分)です。
閉経前の女性や出血要因(消化管出血、痔など)がある人の場合は、どうしても鉄不足、鉄欠乏になりがちです。
そういう場合には、(依存しすぎてはいけませんが)鉄サプリメントを用いるのが賢明です。
まとめ
ビタミンとミネラルの違いは、
「分子栄養学的に望ましい摂取量と厚生労働省が示す推奨量との『開き』が、ビタミンとミネラルとでは違う。
ビタミンの方が圧倒的にその『開き』が大きい」
ことです。
「厚労省の推奨量に対し、ミネラルは多くても2〜3倍あればよい。
しかし、ビタミンはそれよりも遥かに多くの、十倍以上、場合によっては数十倍の摂取が必要になる」
ということです。
この差は何から起こるのかというと、補酵素と補欠分子族の違いです。
ビタミンが属する「補酵素」は、酵素との結合が弱く緩く、一度結合しても離れていってしまいます。
それだけ、たくさん補酵素(ビタミン)が必要だということを意味します。
一方のミネラルが属する「補欠分子族」は、酵素との結合が非常に強く、一度くっついたら離れません。
つまり、それほど多くの補欠分子族(ミネラル)を必要としません。
この違いにより、ビタミンは食事からの摂取では限界があるので、サプリメントに大きく依存せざるを得ません。
一方のミネラルは、食事から意識して摂ることによって、必ずしも個別サプリメントは必要ないと私は考えます。
この記事の内容については動画もアップしています。
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