私たちの体を蝕んでいく酸化油の正体は知れば知るほどヤバい!
現代の食生活に溢れているのが酸化油を伴った食品です。
この酸化した油を体に入れるとどのように体を蝕んでいくのか、余すところなくお伝えします。
合わせて対策もお話しします。
(記事の文末に動画を貼っています)
酸化とは
まず、酸化について簡潔に説明します。
酸化とは、文字通り酸素と化合(反応して結合して、別の物質になる化学変化)することです。
現代ではこれを拡張して、ある物質から水素を奪われること、または電子を失うこと、という意味で使います。
噛み砕いて言えば、酸素を含む空気に触れることによって、その物質が「劣化」することだと考えて構いません。
もっとも身近な例では、リンゴを切ったまま置いておくと切り口が変色する、醤油を開封して月日が経つとだんだん黒ずんでいく、というのは皆さんよくご存知のはずです。
今回は、油が酸化するとどうなるのかという話です。
結論から言うと、リンゴや醤油より体へのダメージははるかに甚大です。これを知らないで食生活を送っていると、健康レベルが大きく低下します。
油が酸化⇨過酸化脂質
酸化する油は、おもに不飽和脂肪酸です。
不飽和脂肪酸とは常温で液体の油です。
日常の調理で使うあらゆる油、あるいはEPA/DHAや人気の亜麻仁油、エゴマ油、シソ油など、すべて不飽和脂肪酸です。
これらは、程度の差こそあれ、酸素に触れることによって酸化します。
ちなみに、バターやラードなど常温で固体(例外あり)の飽和脂肪酸は酸化しにくい油です。
不飽和脂肪酸が酸化すると、過酸化脂質(ヒドロペルオキシド)という物質に変化します。
過酸化脂質が厄介なのは、酸化した油で終わらないことです。
過酸化脂質は非常に不安定な物質であり、そのため自らを安定させようとして、周りにある脂質から水素を引き抜きます。
すると、その脂質も酸化して過酸化脂質となります。
つまり、過酸化脂質は連鎖的に周囲の脂質を巻き込んで酸化させていくという恐ろしい毒物だと考えてください。
過酸化脂質が体内で増えると・・・
では、過酸化脂質が体内で増加すると何が起こるのか、見ていきたいと思います。
体の中で脂質が存在する場所と言えば、まず一つ一つの細胞を包む細胞膜です。ここに過酸化脂質が入り込むと、細胞は次第に固くなって、細胞としての機能が低下します。
それを前提として、次に脂質が多い臓器を見ていくと、何と言っても脳です。
脳は、水分除くと約60%が脂質です。残りの40%がタンパク質です。
したがって、60%を占める脂質が酸化した過酸化脂質に侵されてしまうと、脳が正常に機能しなくなります。
その先にあるのがアルツハイマー型認知症です。
脳で過酸化脂質の沈着が進むと、アルツハイマー型認知症の原因だと言われるアミロイドβというタンパク質の蓄積も進むことが分かっています。
さらに過酸化脂質は、血液中のLDLコレステロールを酸化して酸化コレステロールに変化させます。
この酸化コレステロールが血管に付着すると、いくつかの過程を経て動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化は脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症のリスクを上げるので、酸化油、過酸化脂質をけっして侮ることはできません。
とにかく危ないのは揚げ物
次に、どのような食品に過酸化脂質が多く含まれているのか、おもだったものを挙げてみます。
過酸化脂質は、不飽和脂肪酸が酸素に触れることで発生しますが、その酸素を活性化させるエネルギーとして熱と紫外線があります。
とりわけ油を高温調理すると、指数関数的に過酸化脂質が大量に発生します。
もう言うまでもなく、危ない食品は揚げ物です。
フライドポテト、フライドチキン、魚介類のフライ、天ぷら、カツ、から揚げ、竜田揚げ、コロッケ、ドーナツ、揚げ菓子、etc.
揚げ菓子と言えば、私が住む沖縄ではサータアンダギーがありますが、やはり代表選手はポテトチップでしょう。
過酸化脂質の生成量は、空気との接触面積が広いほど多くなります。
したがって、ポテトチップの過酸化脂質量は、その軽さからは想像できない量だということを覚えておいてください。
もう一つ、接触面積が広いのはインスタントラーメンです。
インスタントラーメンがヤバいのは、添加物の種類と量だけではありません。
揚げる前から酸化している
さらに揚げ物が危険なのは、高温調理による過酸化脂質だけではありません。
そもそも使っている油が、数十回、数百回、それ以上の使い回しなので、揚げる以前に酸化しまくっているワケです。
トランス脂肪酸の記事で、私が最初に務めた会社は、マクドナルドだったという話をしました。
当時、フライヤーで使う油交換は1週間に1回でした。
(現在のことは分かりません)
新宿区の忙しい店舗だったので、1日に挙げる回数は200回は超えていたのではないかと記憶しています。
単純計算でも、千数百回は使って油を交換しているということです。
ここまでではないにしても、外食店やスーパー、コンビニの揚げ物は使い回しの油で揚げていることには変わりません。
1回毎に取り替えていてはコストに合わなくなりますし、もう一つフライヤーの油の交換作業は本当に大変だからです。
また、スーパー、コンビニの揚げ物と言えば、揚がった商品がずーっと売り場に置かれていますよね。
その間も空気に触れています。
つまり、スーパーやコンビニの揚げ物商品は、すでに
①酸化した油を
②高温調理して
③長時間空気に晒す
というトリプルで酸化油、過酸化脂質を増やしている食品だとも言えます。
世にも恐ろしい話です。
酸化油対策は2つ
では、対策です。
まずは、外食、テイクアウトの揚げ物を極力食べない、少しでも減らす。
これに尽きます。
次に、接触面積が広いポテトチップとインスタントラーメンを避けることです。
「せめて、自宅で天ぷらを揚げて食べたい」という方もいると思います。
それは構いませんが、油をオイルポットに保管して使い回していたら元の木阿弥です。
1回切りにして、新鮮な油を使ってください。
もったいないというのであれば、揚げ焼きという手があります。
油の深さを1〜2cm位にして、裏っ返しながら揚げていく方法です。
ぜひ一度試してみてください。
2つ目の対策は、過酸化脂質の連鎖反応、増殖を食い止める栄養素を摂取してください。
具体的には、脂溶性の抗酸化栄養素です。
まずはビタミンEが基本です。
次にカロテノイド。カロテノイドは、最強のアスタキサンチンをはじめ、リコピンやルテインなどがあります。
ただし、過酸化脂質の連鎖反応を食い止めるためには、食品に含まれるビタミンEやカロテノイドでは全く量が足りません。
したがって、サプリメントを使ってください。
カロテノイドのサプリメントに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
不飽和脂肪酸が酸素に触れて酸化すると、過酸化脂質に変化します。
過酸化脂質は連鎖的に周囲の脂質を巻き込んで酸化させていきます。
脂質が多い脳が過酸化脂質に侵されると、脳が正常に機能しなくなり、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなります。
さらに過酸化脂質は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症のリスクも上げます。
油を高温調理すると過酸化脂質が大量に発生します。
危ない食品は揚げ物です。
なかでも、空気との接触面積が広いポテトチップとインスタントラーメンの過酸化脂質量は危険なレベルです。
外食店などの揚げ物は使い回しの油で揚げているのに加えて、スーパー、コンビニの揚げ物は売り場に置かれたまま、空気に触れています。つまり
①酸化した油を
②高温調理して
③長時間空気に晒す
というトリプルで過酸化脂質を増やしています。
対策の1つ目は、外食、テイクアウトの揚げ物を極力食べない、そしてポテトチップとインスタントラーメンを避けることです。
2つ目の対策は、過酸化脂質の連鎖反応をを食い止める脂溶性の抗酸化栄養素。ビタミンEやカロテノイドを摂ることです。
この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。