MY STORY NO.8
【作業的存在の方程式】
作業的存在(Occupational being)とは、作業することによって自分自身がどのような存在か決まり、どの集団に所属し、どんな人生をおくるのかも決まっていくという考えである。
作業的存在の方程式として、d+3b=shというものがあります。
dは
Doing 行うこと
3bは
Being は自分があること
Becoming は将来の自分になっていくこと
Belonging は所属すること
であり、これらが
s:survival(生存)とh:health(健康)を可能にするといわれている(Wilcock AA:An Occupational Perspective of Health 2nd Ed.Slack,Throfare,2006.)
また、これが健康を増進し病気や障害を予防するとされています。
更に、このような状態を支えるものとして作業的公正(Occupational Justice)と生態維持可能地域の開発(eco-sustainable community development)が必要であるとも述べられています。
例えば、私自身のことで言えば、
地域を耕すことを使命とするNPO法人はびりすという組織に所属し(belonging)、地域ではたらく作業療法士として(being)、地域のこどもたちの発達を促進する作業を行いながら(doing)、作業科学の考え方などなどを使って全ての人こどもたちが強みを発揮して生きていけるようになる(becoming)ために、制度的、文化的な社会的障壁を軽減し公平な地域を作り(作業的公正と生態維持可能地域の開発)を目指すことで生存と健康が保障されるといった具合いになります。
とくに、地域では作業的公正(Occupational Justice)に関しては重要な考え方であるとともに、ここがクリアされるかされないかで地域でのインクルージョンの質が大きく変わってくると思われます。
社会の正しいあり方を捉えることは非常に難解であるが故に、個人と集団のバランスを慎重に考える必要があります。
なぜなら、ある特定の個人にとっては利益になることでも、社会全体の大勢にとって害を及ぼすときには正しくないと考えるからです。
これは地域社会を作業のレンズでとらえて社会的課題をクリアしていくために非常に重要な捉え方であり、先にでてきた作業的存在の方程式と合わせて頭の方隅に置いておくと良い知識であると思います。
これからも作業のレンズでじゃんじゃん社会を分析していこう。