メロディックグラビティ
秋の夜をゆっくり歩いた。
ぼーっと見つめた先に鳥の羽が落ちていた。
視線は下を向いているのに。
頭の中は空にある——
星屑が光を散らす。
それは星にはえた羽のよう。
わたしは今宵柔らかな羽に包まれている。
たくさんの星たちから降り注ぐ光。
地上を歩くわたしの影は幾重にもなって映る。
それはまるで星たちがわたしに羽を授けたように。
不思議と足取りは軽い。
空のほうに重力があるみたいに。
宙の星に落ちていくみたいに。
このままわたしも星になってしまおう。
そして自慢の羽でたくさんの人たちを包み込もう。
夜は怖くないよって。
迷わないようにゆく道を指し示そう。
燃える体が心地よかった——
朝を迎えた。
落ちていた羽はもう無くなっていた。
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