「変形労働時間制」~労働基準法をゼロから勉強してみる
「従業員の働き方を、
もっと柔軟にできないかな?」
と思ったことはありませんか?
「変形労働時間制」は、
そのような悩みを
解決するかもしれない制度です。
今回は、
「変形労働時間制」について
考えてみたいと思います。
「変形労働時間制」とは?
労働基準法では、原則として
「1日8時間、週40時間」労働が
定められています。
しかし、
事業の特性や繁忙期によっては、
この原則どおりの労働時間管理が、
必ずしも効率的とは限りません。
「変形労働時間制」は、
特定の期間で労働時間を調整することで、
業務の繁閑に合わせた柔軟な働き方を
可能にする制度です。
これにより、
従業員のワークライフバランスを
向上させながら、
組織全体の生産性向上を
目指すことができます。
「変形労働時間制」のメリットは?
この制度の導入は、会社にとって、
次のようなメリットをもたらします。
▶残業時間の削減とコスト削減
業務量が少ない時期に
労働時間を短縮することで、
時間外労働を抑制し、
人件費の削減に繋がります。
▶生産性の向上
業務量に合わせて
労働時間を調整することで、
従業員は集中して
業務に取り組むことができ、
結果として生産性の向上に繋がります。
変形労働時間制の種類と特徴
変形労働時間制のうち、
今回は、比較的よく使われる
次の2つの変形労働時間制について
お話しします。
①1か月単位の変形労働時間制
この制度は、
1か月単位でシフトを組む業種に適しており
例えば、小売業や飲食業などで
よく利用されます。
【制度の概要】
1か月以内の期間で、
週平均40時間(特例事業場では44時間)
以内であれば、
1日や1週間の法定労働時間を
超えて労働させることが可能です。
【導入する場合の手続き】
「労使協定の締結」または
「就業規則への記載」が必要です。
なお、労使協定の場合は、
管轄の労働基準監督署への届出が必要です。
②1年単位の変形労働時間制
この制度は、
季節的な繁閑があるような業種、
例えば、農業や観光業などに
適しています。
【制度の概略】
1年以内の期間で、
週平均40時間以内(特例事業場も同じ)
であれば、
1日や1週間の法定労働時間を超えて
労働させることが可能です。
【導入する場合の手続】
労使協定を締結し、
管轄の労働基準監督署への届出が必要です。
導入時の注意点
変形労働時間制を導入する際に、
注意することは主に次のとおりです。
▶法律に基づく手続
労働基準法に基づく手続きを
正確に行うことが重要です。
特に、
労使協定の締結や就業規則への記載、
労働基準監督署への届出を怠ると、
制度が無効となる可能性があるので
注意が必要です。
また、従業員への周知も忘れずに
行いましょう。
▶労働時間の上限管理
各制度には労働時間の上限が
定められています。
その上限を超えないように注意が必要です。
▶割増賃金の支払い
法定労働時間を超えた労働や、
深夜労働に対しては、
割増賃金を支払う必要があります。
▶従業員への丁寧な説明
制度導入の際には、
従業員に制度内容を丁寧に説明し、
理解を得ることが大切です。
▶労働時間管理の徹底
労働時間を正確に把握し、
記録することが義務付けられています。
まとめ
「変形労働時間制」は、
従業員の多様な働き方を実現し、
企業の成長を支えるための有効な手段です。
もし、従業員の働き方を
もっと柔軟にしたいと思われている場合は、
この機会に自社での導入を
検討してみてはいかがでしょうか。
制度について疑問に思うことがある場合は、
労働基準監督署など専門機関にご相談ください。
【注意】
本記事は、
一般的な情報提供を目的として
投稿日現在の情報をもとに作成しています。
個別のケースに
当てはまるものではありませんので、
あらかじめご了承ください。
また、法律や制度は頻繁に改正されるため、
必ず最新の情報をご確認ください。