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【レビュー】『連敗阻止するも…』~第9節愛媛FCvsファジアーノ岡山~

試合結果

2024 J2 第9節
4/7 15:00K.O. @ニンジニアスタジアム
愛媛(2-2)岡山
12分 松田力
68分 オウンゴール
70分 小川大空
90+2分 齋藤恵太

スタメン

マッチレポート

粘り強さで二度追い付くも、見え隠れする拙さ

岡山は約1600人のサポーターと共にニンジニアスタジアムに乗り込むも、出鼻をくじかれた。12分、左CB田上の中央へのパスを谷本にカットされる。谷本がインターセプトをそのまま前方の松田へのワンタッチパスにしたことで、ビルドアップのために陣形を広げていた岡山の選手はリカバーできない。古巣対戦の藤田が松田にアタックするも妨害できず、コントロールショットが左スミに決まった。

ミスから先制点を許す苦しいスタートとなったが、相手陣内にボールを入れてセカンドボールを回収し、WBとシャドーの関係性でニアゾーンを取る“自分たちのサッカー”でて主体的にゴールに向かったが、ラストパスがゴール前の味方に合わず決定機を作れない。そして愛媛のメリハリの効いたプレスに苦戦し、鋭いカウンターも受けた。ただ、本山や末吉がスピードを生かした対応でサイドからの進入を許さず、柳育、田上も体を張って追加点を与えずに前半を終えた。

後半はテクニカルなガブリエル・シャビエルと仙波、スピードのある齋藤を投入し、攻撃にリズムが生まれた。ワンタッチパスやドリブルで相手を剥がし、背後を突くスルーパスで守備ブロックの急所を突いていく。68分にはショートコーナーから本山の折り返しが相手に当たってゴールに吸い込まれた。同点弾にサポーターのボルテージが高まったが、その2分後にFKから失点を喫する。DFとGKの間に流し込まれたボールをドンピシャで合わせられるという前節と同じ形の失点にため息が漏れた中、72分に相手選手がラフプレーで退場して数的優位になると、一方的に押し込んだ。

前線にグレイソン、齋藤、ルカオを並べ、仙波とシャビエルがPA手前から左右に揺さぶり、末吉がサイドを突破してクロスを供給し続ける。90+2分にはショートコーナーから仙波のクロスを齋藤が頭で合わせてこじ開けた。絶え間なく攻め続ける岡山だったが、愛媛の粘り強い守備の前に逆転弾は奪えず。試合終了間際にはカウンターからベンダンカンに抜け出されるも、本山が驚異的なスピードで戻ってシュートブロック。絶体絶命のピンチを食い止めた。タイムアップの笛と同時にピッチに倒れ込む選手が続出した激闘は痛み分け。岡山は粘り強い戦いで連敗は阻止したが、拙さも見え隠れする90分となった。

コラム

スピードだけじゃない。齋藤恵太の引き出し

移籍後初得点がチームを救った。

90+2分、左CK。仙波が末吉とパスを交換して柔らかいボールをゴール前に送る。両チームの選手が入り乱れるゴール前は、試合終盤だったため足が止まっている選手も多い。その中で、齋藤は後ろから走り込んで勢いを付けて高く跳び、頭で合わせた。強靭な背筋を使いながら体をひねり、強烈なヘディングシュートを右スミに突き刺した。

今季秋田から加入した齋藤は爆発的なスピードが持ち味のストライカー。Cスタでも鋭い抜け出しから2年連続で得点を決めていたため、齋藤=スピードの印象は強く、今節もピッチに立ってから再三にわたり背後への抜け出しを狙っていた。しかし、それだけではないというのが試合後の感想だ。

得点シーンのようにゴール前で身体能力を生かしてフィニッシャーにもなれる。サイドのスペースでボールを引き出し、相手選手を背負ってタメも作れる。自らがボールを持っていてもボールを持っていなくてもダイナミックかつパワフルにゴールに向かっていける。殺気立ったプレスも相まって、攻守両面で相手にとてつもない圧力を掛けられる。エネルギーをみなぎらせながら多面的にゴールに向かえるプレーの引き出しを披露して結果も残した背番号29がアタッカー陣の競争を煽り、停滞感が漂う攻撃の起爆剤になる。

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難波拓未|サッカーライター
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