【勝因】『リバプールが質の高さで堅牢な城を攻め落とす』~プレミア・リーグ第24節ニューカッスルユナイテッドVSリバプール~

試合結果

2022‐23 プレミア・リーグ 第24節
2/18 26:30K.O. @セント・ジェームズ・パーク
ニューカッスルユナイテッド(0-2)リバプール
10分 ダルウィン・ヌニェス
17分 コーディ・ガクポ

スタメン

堅牢な城を攻め落とす質の高さ

リバプールが圧倒的な質の高さを発揮して鉄壁要塞を陥落させた。

CL圏内の4位に位置するニューカッスルは、強固な守備でプレミア・リーグを席巻している。失点数は第23節終了時点で「13」。2番目に少ないのが、首位を走るアーセナルの「21」だった。さらに完封試合が12試合あることからも、ニューカッスルの守備の好調ぶりを物語っている。

なぜ、ニューカッスルは失点数が劇的に少ないのか。抜群のシュートストップ技術をもつイングランド代表GKニック・ポープり、193cmの高さがあり空中戦に強いステファン・ボトマンとカバーリングがうまいファビアン・シェアのCBコンビという力強くゴールに鍵を掛ける選手たちの存在は大きい。しかし、決して選手の能力に頼っているわけではない。

[4-1-2-3]の形から相手に襲い掛かるようなハイプレスと[4-1-4-1]の形で自陣に距離感の良いブロックを組むリトリートディフェンスを使い分ける。全員の意思が統一されており、状況ごとに適した方法を採用して守っていく。連動した守備組織が構築されているのだ。

特にプレスにおける奪い所がしっかりと共有されている。WGが巧みなコース取りで相手CBに寄せることで相手SBへのパスを誘導し、「待ってました!」と言わんばかりにIHが内側から鋭く出ていって追い詰める。ニューカッスルの左サイドがリバプールの右サイドをバタつかせていた。

序盤は良い守備から良い攻撃を展開するニューカッスルの勢いを受けたリバプールだったが、守護神の活躍によって徐々に落ち着きを取り戻していく。なかなかシュートチャンスを作れなかったものの、圧倒的な精度を誇る狙撃手がゴールを陥れる。

10分、リバプールが右サイドで細かくパスをつなぎながら出方を伺う中で、キックのスペシャリストが一瞬の隙を見逃さなかった。右SBキーラン・トリッピアーがサイドに張り出すアンドリュー・ロバートソンを気にして内側から外側に少し動いた瞬間、トレント・アレクサンダー=アーノルドが右足をしならせる。鋭いロングパスが前線に飛んでいき、ダルウィン・ヌニェスが相手右SBと右CBから抜け出した。背番号27はフリーでゴール前に進入すると、後ろから来たロングパスを正確にコントロールして右足で冷静に流し込む。リバプールが先制に成功した。

トリッピアーはずっと内側のヌニェスを警戒していた。しかし、ほんの一瞬だけ外側のロバートソンが気になったのだ。それによって守備ブロックにわずかな綻びが生まれ、そこに針の穴を通すアーノルドの正確無比なパスを通されてしまった。ニューカッスルにとってはアーノルドにしっかりと寄せるか、リバプールの技術的なミスを祈るしかなかった。

その7分後にもリバプールは質の高さで追加点を挙げる。若干18歳のステファン・バイチェティッチが巧みなターンでプレスをブレイクし、コーディ・ガクポ、ファビーニョを経由してボールはモハメド・サラーへ。サラーが1タッチで相手DFの頭を越えるパスをゴール前に送ると、オフサイドギリギリで抜け出したガクポが押し込んだ。

その後、ニューカッスルはセットプレーで反発する。しかし、22分に背後に抜け出すサラーを狙ってアリソンが蹴ったパントキックをPA外に飛び出してのクリアを試みたポープの手に当たってしまい、絶対的な守護神が退場処分を受けた。前半のうちに2点ビハインドで1人少ない状況である。

リバプールが質の高い攻撃で堅牢な城を攻め落とした。

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難波拓未|サッカーライター
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