【勝因】『ズレを作ったインサイドハーフの動き』~プレミア・リーグ第29節マンチェスター・シティVSリバプール~
試合結果
スタメン
8ポイント差で首位のアーセナルを追うマンチェスター・シティがCL出場権を狙うリバプールとエティハド・スタジアムで激突した一戦は、ホームチームが4-1で快勝を収めた。
昨年に優勝争いをしていた両者の対戦は、ビルドアップのシティとプレスのリバプールという構図で試合が推移していく中で、ズレを作ってボールを確実に前進させたシティのうまさが際立った。シティのビルドアップはチームとして洗練されており、そこにIHのケヴィン・デ・ブライネとイルカイ・ギュンドアンがアクセントを加えてさらに磨きを掛けている。
まずはシティのビルドアップの形について。ボールを持つと立ち位置が[4-3-3]から[3-2-5]に変化する。右SBのジョン・ストーンズがアンカーのロドリの横に立って2ボランチを形成し、最終ラインが右にズレて3バックになって、前線は幅を取るWGと中央のCFに加えて内側にインサイドハーフのデ・ブライネとギュンドアンが立って5レーンを埋める。
これに対してリバプールは[4-2-3-1]の形で人を捕まえるように迎撃した。CFのモハメド・サラーがシティの中央に構えるCBを、SHが3バックの右左を、トップ下のコーディー・ガクポ、ボランチのジョーダン・ヘンダーソンがシティの2ボランチをケアする。さらにシティのWGは両SBでマークし、シティの1トップ2シャドーに関してはファビーニョとCBが監視した。
シティのビルドアップとリバプールのプレスが完全にかみ合う形になると、17分にリバプールが縦に早い攻撃で先制に成功する。右SBのアレクサンダー・アーノルドのスルーパスに反応した左SHのディオゴ・ジョッタがゴール前に抜け出し、落としを受けたCFのサラーが流し込んだ。
リバプールが幸先よくリードを奪い、公式戦3試合ぶりの勝利に大きく前進したかに見えたが、シティがビルドアップでズレを作って攻め込んでいく。右IHのデ・ブライネと左IHのギュンドアンが斜めに下がるアクションを見せ、均衡を打ち破った。
右IHのデ・ブライネが右CBのマヌエル・アカンジと右WGのリヤド・マフレズの間に、左IHのギュンドアンが左CBのナタン・アケと左WGのジャック・グリーリッシュの間に下りる。両選手ともにマッチアップするのはリバプールのアンカーまたはCBであり、彼らがデ・ブライネとギュンドアンに付いてくと、自陣ゴール前を空けてしまうことにつながる。したがって、デ・ブライネとギュンドアンはフリーの状態で下がることができた。
では、リバプールがSBで彼らをマークすればいいんじゃないかと思うのだが、突破力のあるシティのWGをケアしている状態で、マークを外すと背後に抜け出されて決定的な仕事をされかねない。どちらにアプローチすればいいのか、リバプールのSBは難しい状況を強いられた。
そして27分、デ・ブライネが右サイドで作ったズレをきっかけに同点弾が生まれる。デ・ブライネが斜め右に下りてボールを受けると、リバプールの左SBのアンドリュー・ロバートソンがたまらずプレスを掛けた。そこでデ・ブライネは1タッチで縦パスを流し込む。これがフリーになった右WGのマフレズに渡り、完全にプレスをブレイク。1つズレれば、そこから全てズレていくと言わんばかりに、シティは先手を取り続けてゴール前にボールを運ぶと、最後はグリーリッシュのクロスをフリアン・アルバレスが押し込んでネットを揺らした。
後半に入ってもIHが起点となりズレを生み出し、46分にはマフレズのクロスをデ・ブライネが押し込んで逆転。53分と74分にも追加点を挙げた。ビルドアップでズレを作ることで先手を取ってボールを前進させたシティが力の差を見せる4‐1での勝利を収め、リーグ戦4連勝を達成した。残り10試合で首位のアーセナルを8ポイント差で猛追している。