【皮膚むしり症】20年にわたるアラサーの戦歴が同士の参考になりますように。
自分の手や指、堂々と人に見せることができますか?
私は1ヶ月前まで、見せられませんでした。
自称ミニマリストの私は、モノ自体は減らしすぎた結果、私物が日々この世から姿を消している。
しかし、”ある症状”だけが20年経っても手放せない。
習慣に刻まれた”最悪の癖”。
『皮膚むしり症』
だ。
『皮膚むしり症』の支障と切なさ
”皮膚むしり症”が原因で肉体的に死ぬことは感染症などごく稀だと思うけれど、
日常生活への支障がまぁすごい。
ついでに他人からの「うわぁ……。」もすんごい。
私の『皮膚むしり症』の支障と罪は以下の通り。
●ささくれから硬くなリ乾燥した指の皮を指や口でめくるため、常に指周り血まみれ。
長年習っていたピアノ教室のグランドピアノを、レッスンで黒鍵と赤鍵(血まみれ)にしたことも。
服にも血が付着しがち。
※大変なご迷惑をお掛けしました
●日常生活の全てにおいて指は必出なので、9割の動作で激痛。
真皮剥き出しの指にとって、アルコールの手指消毒は特に激痛。
●そして爪もむしって深爪選手権代表みたいな状態なので、
爪が生えてること前提の動作
(薬を押し出す、プルタブを開けるなど)
が高難易度になる。
●10本全ての指の皮を広範囲で
20年近く治ってはむしってきたため、
関節の皮膚まで硬くなリ両親指が途中から曲がらない。
●指を見られるとまずギョッとされる。
視界に不快なものを映してしまっている自覚はある。
でも皮をむしっている間の自覚がない。
これに加え、
指の皮や爪むしりをやめない私を母が叩く
↓↓↓
ストレスでさらに私が皮をむしる
の悪循環もあった。
もーーー小さい頃の私とってもかわいそう!
今だから言える。
叩かれたところで『皮膚むしり症』は治りません!
そしてこの『皮膚むしり症』、本人が悪気があってやってるわけでも、
血や痛みを体感したくてやってるわけでも無い。
別に気持ちよくもならない。
むしろボロボロになる指を見て
「うわぁまたやっちゃったよ自分……。」
と落ち込みつつ。
滲みる痛みと出血、むしった皮の汚さに罪悪感と恥ずかしさと無力感が沸いて、
それでもむしる所がより増えた指先がさらに気になり出すのだ。
これがこの症状の切なさ。
だいたい「皮をめくる、取る行為」がデフォルトで習慣化されていて、
なんなら無意識でストレスの一時的な発散にしているから
この行為の習慣に違和感と意思を挟まないと止まらない。
ここからは、そんな習慣に違和感と意志を挟もうとした、私自身の『皮膚むしり症』との戦歴を残していく。
同じ『皮膚むしり症』に悩み日々試行錯誤している同士に
「ここにもめっちゃ試行錯誤して、まだ奮闘しているアラサーが居るよー!」
と、届いたらいいなと思う。
『皮膚むしり症』に対して実践した作戦のアレコレと戦歴
(1)ささくれは爪切りで切る”ことにする”作戦
もう「切る”ことにする”」って言ってる時点でお察しだけれど、自分の意志に100%頼りきった作戦。
指の皮にめくる取っ掛りがあるのがいけないので、とりあえず爪で無意識に向いてしまいそうなささくれやペラペラとした皮を、とにかく爪切りで切りまくった。
これは初手にして
「もう皮膚をむしることは出来なくなるのでは?」
と思える。
しかしこの方法には大きな問題がある。
それは、”習慣化”された行為に意思は勝てない
ということ。
爪切りを24時間握りしめている訳にはいかないけれど
指の皮を無意識でめくるのは自分の爪や指。
爪切りか皮めくり、どちらが勝つかは一目瞭然だった。
帰宅して爪切りで処理しようとする頃には
見るも無惨な指先になっていることしか無かった。
結果:無意識の習慣が勝利。この作戦は即失敗。
(2)ハンドクリームを持ち歩き常に手ベタベタ作戦
次なる作戦は、定番のハンドクリームを使ったもの。
乾いてめくれてくるのが原因なら、
もうベッタベタにすれば皮をむしることは出来ないんじゃないかと思った。
それに手先が荒れている人を見れば、
「その手荒れ酷くない?ハンドクリーム塗ったら?」
と言いたくなる人の気持ちもよく分かる。
いい香りもして、柔らかな手になって、手荒れも治まるなんて素晴らしい!!!
と天を仰いだのは、
購入したての”なんたらティー”の香りのハンドクリームを塗った初日のみ。
まず日中は看護学生なので、手洗いと手指消毒が必須かつ超頻繁。
ハンドクリームを塗る間も無いし、塗ったとしても手指衛生で即落ちる。
座学ならまだしも実習中は手洗い後にペーパータオルで拭き取るため、まぁカッサカサ。
そして学業を終えても、
アルバイト(当時は飲食のホールスタッフ)でも
食品衛生のために頻繁な手洗い&ハンドクリーム禁止。
医療従事者向けのクリームから、すぐサラサラになる圧倒的芳香の高級ハンドクリームまで幅広く手を出したけれど。
結果:ハンドクリームを一度も使い切ることなくこの作戦は終了。
(3)ささくれや硬くなった皮膚を定期的にやすりでならす作戦
土地じゃないんだから。「ならす」て。
と思うけれど、これが最も近い表現な気がする。
爪切りもダメ、ハンドクリームもダメ。
それなら《やすり》で、皮をめくる引っかかりを無くしてツルツルにしてやろうと思った。
さらにこの頃は既に20年近い皮むしりの果てに、
ダメージを受け続けた私の指は、防衛を始めていた。
小指を除く全指の指先が、硬いタコのようになっていた。
それもついでにツルツルにしてやろうと思った。
※良い子は真似しないように。
結果:惨敗。確かに一部の皮はツルツルにはなったが、それ以上にささくれ激増。
まだめくれていなかった甘皮や指先の薄皮までチクチクとめくれてきて、
やする前の方が指のダメージは少なかったんじゃないか、
と思わざるを得ない状態になった。
(4)就寝時に綿の手袋+ハンドクリームで手シットリ作戦
まだハンドクリームの効果とあのいい香りの夢心地を諦めていなかった私は、
「日中に使おうと思うからいけないんだ!
手を使わない就寝中にケアを一極集中だ!」
とこの作戦を閃いた。
早速、白い綿の手袋を購入した。
作戦(2)で残っていたハンドクリームを就寝前にペタペタとつけ、手袋を嵌めて、
「おやすみなさい〜……。」
結果:三日坊主の化身が毎晩の習慣化を果たせる訳もなく3日で終了。
日中の皮膚むしりのペースが夜間のケアを上回るため、効果なし。
シルクの手袋を買った時点で何となく気づいてはいたが、
自分の三日坊主歴を舐めていた。
(5)指サック全指嵌めとけ作戦
これはピアノ教室のレッスンで開発された作戦。
これを実施していたのは20歳頃だと思うので、
「いや、指サックて。まぁ、うん……。」
というこの作戦のアホさと真剣さに拍手を送りたい。
内容は単純に
『100均で指サックを10個買ってピアノのレッスン日は全指につける』
という、血まみれ赤鍵盤を防ぐためだけのもの。
「100均行ったならマニキュアあったやろ。」
と思うかもしれないが、
飲食チェーン店のスタッフは基本的にマニュアルで、
爪に何かしら塗ることが使用が禁止されているのです。
いざ、指にゴム製の薄いサックをはめてピアノ演奏へ。
結果:指サックで指先の感覚薄くなってピアノが弾けん。
そもそも日常で既に指の皮と爪はボロボロなので効果ナシ。
血まみれ赤鍵盤は起こらなかったが、そもそも根本の出血原因を絶たないことにはどうにもならないことに気づいた。(遅い。)
(6)自分でマニキュアして指に違和感作戦
ついに辿り着いた、マニキュアの使用。
「爪に何かしら塗られていれば、皮膚をむしろうとしても爪を噛もうとしても、その違和感で動作を止められるハズ。」
という”習慣”に切り込んだ作戦。
ここに辿り着くことが出来たのは、
飲食店のアルバイトを国試のために辞め、看護学校の実習も終了したからこそ。
この時点で指は最悪の状態。
実習と国試勉強のストレスで、無意識に剥いて噛んでちぎってを繰り返していたのか
皮めくれは第1関節を優に越えていた。
爪やすり一式とシンプルなピンクのマニキュア、トップコートも購入し早速塗り塗り。
私は自分の不器用さを侮っていた。
気泡が入る、手が震えてマニキュアがネッチョリ伸びる、爪周りにはみ出しまくり、ムラだらけ。
日を改めて10回ほどチャレンジした。
ネットで調べた「綺麗なマニキュア 塗り方」も大いに参考にした。
一切上達しない。
ムラだらけ記法だらけのマニキュアは簡単に剥がれて、あっという間に皮膚をむしれる爪に戻ってしまった。
むしろ剥がれたマニキュアでさらに指先が汚く見える。
しかもマニキュアはネイルほどの硬度がないので、
そもそも”習慣”を阻むことができると期待した『違和感』がそんなに無かった。
結果:不器用が故にマニキュアは一切上達せず、さらに汚く見えるわ簡単に剥がれるわで、”習慣”を上回れず失敗。
(7)ネイルサロンでおててピカピカ作戦
もうプロの手で爪を固めてもらい、
ついでにネイルケアで指周りもピカピカにしてもらおうという算段。
DIYでcm単位の誤差を平気で生み出す”不器用の化身”である私は、プロの手を借りる必要があった。
これは安くて¥3,000近いコストがかかるけれど、
「これだけのお金を爪に注いだからには出来うる限りピカピカを維持したい」
という気持ちも働く捨て身の作戦でもある。
当時は転職をして、色の目立たないショートネイルであれば『爪の保護のため』と暗黙で見逃されている環境もあった。
施術後の効果はばつぐんで、ささくれの発端である乾燥も甘皮も
「初めから居ませんけど???」
と言わんばかりに綺麗に処理。
まるで引っかかりようのない、
滑らかで硬い薄ピンクの爪を手に入れることが出来た。
問題は、1週間後から徐々に現れた。
ガチガチのUV硬化で噛むことを許されず皮膚むしりにも違和感を感じる手指によって、
指先はカサつきを残してほぼほぼ綺麗になっていた。
素晴らしい効果、ジェルネイル。
しかし、1週間も経てばこんな私の爪でも確実に伸びるため(生きてるからね)、
徐々に根元の爪が剥き出しになってきたのだ。
それと同時に爪先や根元から剥がれ始めるネイル。
マニキュアと違い
「汚くなってきたから落として塗り直そ〜。」
という訳にはいかない。
ネイルサロンにもう一度足を運んで、お金を払って、剥がしてもらう必要がある。
再度塗るのにもお金がかかる。
爪が伸びたりネイルが剥がれた時に、ネイルサロン通いではすぐ対処できないことに気がついたのだ。
そうこうしている間に、
1週間では『皮膚むしり症』の癖が消える訳もなく、
ジェルネイルが剥がれ始め伸びた爪で、皮膚を気付かぬうちにむしっていた。
結果:ネイルサロンはオフまでして1回で終了。
指は再びボロボロ。
ネイルオフした爪もケアで薄くなっているため容易に噛んでしまい、無惨な状態へリセット。
(8)セルフジェルネイルで爪完全硬化作戦
もう何をやってもダメだ。これは最終手段だった。
マニキュアは皮むしりを防げるほどの強度は無かった。
マニキュアが剥がれながら皮膚も剥けていく。
硬いジェルネイルは厚めに爪を固められるから、
そもそも皮膚をつまんだりひっかけることが出来ない。
綺麗にジェルネイルをした指では、物理的に皮膚をむしれないのだ。
そしてセルフでジェルネイルをすれば
塗布からオフまで数千円と、
ネイルサロンまでの移動にかかる数々の手間が省略できる。
UVライトで硬めればすぐに日常動作ができるという点は、
”不器用の化身”
”衝動性の権化”
”不注意が人の形をしたもの”
を自称する私にはとてもありがたい。
結果:今現在、わずかなささくれ痕と爪横のカサつきを残して、むしられた皮膚は完治した。
根本はやっぱり習慣の上書きとストレスの軽減
今の私の手指は、もう手指消毒をしても滲みないし、
ピアノを弾いても血まみれ赤鍵盤を誕生させることは無い。
定期的に自分でジェルネイルをオフし、
爪の調子を見ながらヤスリで伸びた爪の先端を整えて、
自宅でセルフネイルをしている。
ただ、今でも自分の指は皮膚をむしろうとする動きをする。
無意識に爪を口に持っていく時がある。
ジェルネイルで厚くなった爪の違和感で、
「あ、また皮めくろうとしてた……!」
「うわ、そういえばネイルしてるんだった……。」
と気づいて皮膚むしりや爪噛みを止めているだけだ。
この長年習慣化された動作が、
”それをしない”という習慣で上書きされるには
相当の時間がかかると思われる。
その上書き完了までの間は、私はセルフネイルを中断する訳にはいかない。
そして、この皮膚むしりや爪噛み。
私の場合はストレス(主に仕事)で、範囲も強度も回数も爆増する。
という大きな問題がある。
今は働くことから少し距離をおいているタイミングなので、
可愛らしい色味のセルフネイルも不器用なりに楽しんでいる。
ストレス源が無いので自分の手指を大切にする余裕がある。
それでも、また仕事をする時。
自分の『皮膚むしり症』の完治を目指すには、
ネイルOKの職場を選んで、
マットコートのジェルネイルだけでも維持し続ける必要がある
と感じている。
長い付き合いになる『皮膚むしり症』。
これからも仲良くはしていきたくないけれど、
しばらくは腐れ縁のように付き合わなければならない。
この20年に渡る戦歴で辿り着いた
『セルフジェルネイルで爪完全硬化作戦』
で、自分の皮膚をむしり爪を噛む習慣を”しない習慣”で上回れることを信じて。