見出し画像

パン屋ですが生地は1種類だけです / セミハードパンについて

街のパン屋さんは、何種類も生地を用意するのが普通です。でもBreadartでは1種類の生地しかつくっていません。そのひとつの生地から、塩バターパンやセミハードトースト(食パン)など、Breadartで提供する全てのパンをつくっています。

ひとつでも飛び抜けたものを

様々に趣向を凝らしたパンで溢れています。あらゆるパンが簡単に手に入る今、中途半端なパンを提供することに意味はありません。

1種類でも飛び抜けたものをつくるほうがいい。それ以外のパンは他のパン屋さんに任せればいい。だから1種類の生地を徹底的に追求して、それだけを提供しています。

画像4

「米に合うおかずと旨いごはんは最強」的なパン

唐突ですが、米に合うおかずと旨いごはんの組み合わせって最強ですよね。そんなパンをつくりたいと思いました。

つまり、クリームチーズを塗るだけで最高に美味しいパン。トマトスープに添えてわくわくが止まらないパン。ローストビーフを挟むと至福を味わえるパン。

画像5

パンをつくりはじめて色々試し、自然と目指した理想がこの方向でした。

おかずに合わせてお米を変えることは、普通しないと思います。でも、炊飯器や炊き方にこだわる人は少なくない。だからパンも同じように、1種類の生地に徹底的にこだわり、そこから生まれたパンに、いろいろな具材を組み合わせればいい。

セミハードパンとは

様々な具材と組み合わせて楽しめる理想のパンを、既存のカテゴリーにとらわれず、追求しました。

食事に合うのは、砂糖や油脂などの副材料を加えず、小麦の美味しさを引き出したシンプルなパン。いわゆるハード系のパンです。さらに全粒粉をつかったパンは、小麦の香ばしさや旨味が抜群です。

画像4

反面、ハード系のパンは固くて食べにくかったり、全粒粉やライ麦の独特の風味が苦手という人が少なくありません。パンマニアはハードパン好きが多いのに、普通の人は興味がなかったり、パン屋さんが売りたいのはハードパンなのに、売れるのは白くて柔らかいパンばかりだったりするようです。

だから、ハードパンの良さを備えつつ、広く受け入れられるパンを追求しようと考えました。

そういった想いから、Breadartでつくるパンを「セミハードパン」と呼んでいます。

どういったパンか簡単に説明すると、「高加水」「湯種」「低温長時間発酵」「こねない」「挽き方の違う2種類の全粒粉」といった製法を組み合わせることで、小麦の甘み・旨味を引き出し、香ばしいクラスト(外皮)としっとりもっちり噛み切りやすいクラム(内相)の両立を実現しています。また全粒粉と強力粉の割合を試行錯誤し、小麦の美味しさがしっかり感じられつつ、癖が強くなりすぎないバランスを追求しました。

自家製酵母種(いわゆる天然酵母)も試しましたが、理想とするパンに必要だとは感じなかったためドライイーストを使っています。なお「天然酵母」という言葉は乱用されており誤解を招きやすいため、極力使わないようにしています。詳しくはこちら:

ごきげんな日常を支えるパン

「日々忙しく過ごす皆さんの日常を、ごきげんで快適なものにする」がBreadartのミッションです。それはパンが美味しいだけで実現できるものではありません。わくわくする気持ちや、さっと食べられること、食後もすっきり活動的に過ごせることも大事にしています。

Breadartではサンドイッチとセミハードトーストに力をいれています。

サンドイッチは、粗挽き岩塩と発酵バターをのせて焼いたセミハードパンに、わくわくする具材を組み合わせています。パンと具材を美味しく食べられるように、注文をいただいてから具材を常温のパンにはさむようにしています。さっと食事を済ませられるのもサンドイッチのいいところです。

画像2

余談ですが、芦屋の某有名店でカスクート(フランスパンのサンドイッチ)を食べたら、作り置きを冷やして保管しているせいで、信じられないくらい固くて噛みちぎるのに一苦労しました。。。

小さな食パン型のセミハードトーストは、皆さんがお好きなジャムを塗ったり、スープに添えたり、オープンサンドにするなど、アレンジを楽しんでいただくベースになればと考えています。このパンは、焼き立てよりも数日経った状態のほうが熟成して美味しくなります。コンディションにもよりますが、常温なら2~3日、冷蔵庫なら1週間、冷凍ならさらに保存可能です。オーブントースターで軽く焼けば、いつでも美味しく食べることができます。

画像3

個人的な感想ですが、セミハードパンをしっかり食べてお腹が満たされても、苦しくなったり眠くなることがあまりないです。人によると思いますが、全粒粉主体のパンが自分の体質には合っているようです。

「デジタル業界のための食」

前回書いたとおり、デジタル業界で働きながらパン屋をやっています。だからデジタル業界の課題に、食の面から取り組みたい。

料理に興味がない、もしくは時間をかけたくないという人、多いと思います。カップラーメンで済ます人が結構いる印象です。カップラーメンがダメだとは思いませんが、毎日それだと飽きますし、一息つける食事の時間を楽しめた方がその後の仕事にも良い影響があると思います。昼食後の睡魔問題は、食を見直すことで改善する可能性があります。

オープンサンドなら比較的短時間で美味しい料理ができます。さっと食べられて洗い物も少ないので、在宅ワークの皆さんにおすすめです。セミハードトーストをつかったオープンサンドのレシピをInstagramで紹介しています。

セミハードパンで、デジタル業界の皆さんのパフォーマンスを支えることができたらいいなと思います。もっと多くの人に届けられるよう、ECも始めたいと考えています。

ごきげんに生きるために

なぜパンをつくるのか。正直に言います。気分よく生きたいのですが、人に喜んでもらわないと気分よくなれない性分なんですよねw

しかも自分がつくりたいものをつくるというプロダクトアウトが一番楽しい・・・。

だから、

プロダクト(=パン)づくりに熱中する
 → 誰かがごきげんになる
 → それを見て自分もごきげんになる
 → もっとやりたくなる
 → (最初に戻る)

このループを回し続けて、皆さんともっとごきげんになりたい。それが理由です。

最後に、パンづくりで特に参考になった本を紹介します。

自分が目指す方向の先駆者で、製法のひとつひとつの意味が詳しく説明されています。

常識にとらわれない考え方が参考になるだけでなく、勇気づけられました。

40品超のレシピがかなり細かく記載されています。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集