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見放題大阪2024 Blue Mashが起こした2度の革命


2024年7月6日、人知れず革命が起きていた。場所は大阪、心斎橋。

この日は見放題という一大サーキットイベントが心斎橋の20ヶ所のライブハウスで行われていた。若手バンド中心に200近いバンドがそれぞれの音を鳴らしていた。多くのお客さんが訪れるこのイベントはやはりバンドマンにとっては憧れであり大事な空間だ。各バンドがめいいっぱいに爆音を轟かせ、輝いてた。

その中でも一際輝いていたバンドがある。それが大阪の寝屋川からやってきたBlue Mashだ。


13時 サンホールウエスト

革命の始まりの音が鳴る

この日の最初のアクトは誰か分からず伏せられたまま始まった。シークレット枠。

サンホールウエスト。キャパシティ150人の小さなライブハウス。柵はなかった。

そこに置かれていたのはBlue Mashの機材だった。

ライブ開演時間となる。他の会場でも一斉にこの一大イベントの幕が開ける。

この小さなサンホールウエストに、銀杏BOYZのBABY BABYが鳴り響く。何を隠そう、彼ら、Blue Mashの登場SEだ。

サンホールウエストは彼らにとって思い入れのある箱。3年前、2021年の見放題で彼らが初出演した時の会場だ。3年経ったこの日は、1番大きな会場、BIG CATに立つことが決まっていた。そんな中での1日2ステージにフロアは沸く。

サンホールウエストただいま」ギターボーカルの田中優斗はそう口にする。客が前に詰める。

1曲目は「愛すべき日々

Blue Mashを初めて見る人も多かった。
Aメロで、手拍子が起こる。

「手拍子要らないです。あの、俺らそういうバンドじゃないんで」

そう、彼らのライブに手拍子は必要ない。一斉に拳が上がる。

「自己紹介遅れましたァ。サンホールウエストトップバッター、Blue Mash。海岸線!!

2曲目は「海岸線

普段はボルテージが高まるライブ後半に演奏されるこの曲が2曲目に来ることに驚く。優斗は「こい!こいよ!」と煽る。既に熱量は最高潮。

それを見てか、「セトリ変えます!」と言い3曲目の「M19」が始まる。M19とは心斎橋の駅の番号、つまり心斎橋の歌だ。ショートチューンのこの曲でボルテージはぐんぐん上がっていく。

3年前とは違う。「シークレットでも、今の俺らにはサンホールウエストは小さすぎる!」そう叫ぶ。

ボーカル田中優斗は始まる前にスタッフに柵は危ないから要らないと言ったらしい。おかげでほんとにゼロ距離で曲を浴びることができた。

なんてことの無いMCを挟み、優斗はギターげんげんに「カポ1につけて」と命令する。

4曲目は「この街から

ここで聴けると思っていなかった曲。テンションが上がる。大好きな曲。

さらにそこからセトリ変更を宣言し、またもやショートチューンの「このまま僕らが大人になっても」

「今日色んなバンドマンが見てくれてます。でもそいつらを全員倒すしかない」彼は叫ぶ。「俺らが見放題で1番カッコイイバンド」だと。

ツーステージのオファーを受けた時、彼は即答でやること答えた。
理由は、「サンホールウエストでもBIG CATでも1000%のライブをするから

そして「春のまま
あの時の大切な人に向けて書いた曲。あの時の君へ。もう俺はBIG CATに立つぞ、と。

MCを挟む
「セトリ変えすぎて30分リハした意味ないですね、ごめんなさい」と彼は嘯く。

残りあと6分。

「この曲は簡単なコードに簡単な歌詞。でも僕の大切な思いが乗っている曲。」と言い最後の「東京ラストティーン」が始まる。

彼が3年前、サンホールウエストに立った頃。つまり19歳になる年の歌だ。

あの時の僕には大切な人がいました。その人は3年前ここのガラガラのサンホールをした時も見てくれていました。正面のそこの奥の方で。帰り道で、『すごく良かったよ』って言ってくれたりもした。あれは、19歳の秋!」

ナインティーン風に吹かれて
君の言葉を探している
君のいない東京は2人の夢が輝いて

東京ラストティーン

今日はBIG CATに立つよ」そう、言い放つ。もちろん客にではない。そう。

「君が上京してから」天を見上げそう呟いた。曲が終わる。

「またBIG CATで会いましょう」



18時 BIG CAT


この日2度目のBABY BABYが流れる。

パンパンのBIG CATに立ったのはBlue Mash

「今日一番カッコイイバンド、Blue Mashです。よろしくお願いします。」

1曲目は言わずもがな、「素直

ラスサビで一気にボルテージが上がる。ここからはBlue Mashのものだ。

「僕ら3年前から見放題出させてもらってて。
3年前は2021年でコロナ禍。キャパ150のガラガラのサンホールウエストでやりました。2022年、大阪MUSE。もちろんガラガラ。2023年も同じ大阪MUSE。規制なんて全くかかってない。2024年、パンパンのBIG CAT。2002!」

2曲目には「2002

さすがにかっこよすぎた、ああ。気付いたら人の上にいた。衝動ってこういうことなんだって、。
熱狂に包まれて曲が終わる。彼は言う。

ここどこか分かってんすか。心斎橋!M19!

3曲目には「M19

「おい、BIG CATよく聞け。この30分は、心斎橋は俺たちのもんや!俺たち4人とスタッフチームと、お前だけのもんや!目に焼き付けろ!!

もうダイバーが止まらない。本当にBIG CATを、いや、心斎橋を支配していた。

4曲目には「春のまま

BIG CATでライブやると、連絡したらしい。

MC(春のままの前かも)

優斗 「今日入場規制?入場規制ありがとうございます。こんなブスやけど大丈夫か俺ら(笑)」
げんげん 「去年もブスやのにビッキャ立って、今年もブスやのにビッキャ立って、来年もブスやのにビッキャ立つんやろうな俺ら」
優斗 「ブスでどこまでいけるか俺らが検証しますわ」
げんげん 「ぶす道館行こうや」
優斗 「はいこれで出禁なった」
げんげん 「武道館って出禁なれるんや」

優斗「俺達には、手拍子とかシンガロンとかないんですよ。その理由はいっぱいある。大好きなバンドがそれをやってたから、別のやり方で勝ちたかったとか、俺が普通に陰キャやから隣で歌われたらちょっと、、ってなるからとか。」

「でも、最大の理由はコロナやと思う。3年前初めて見放題出た時もコロナ禍。全員マスクつけてたから。今みたいに歌うこともできやんし、距離だってあけなあかん。このBIG CATも間隔あけなかあかんかってんで。」

「で、そんな時期にバンドやってたから当然皆で歌うとかも出来なかった。俺たちはそれを続けてるんやと思います。」

5曲目には「愛すべき日々

「今日色んなバンド観ました。でも1バンドとしてMCでコロナに触れてなかった。でも、みんな経験したやん。マスクつけて、ご飯食べる時も間隔あけてってやってたやん。」

「コロナのとき、沢山の先輩バンドたちが辞めていきました。就職の時、たくさんの友達もバンド辞めていった。でも、それでも俺たちはバンドを続けた。」

「1つ約束する。俺たちがいる限りに大阪のロックシーンは安泰です。」

「大人にも媚びず、楽曲でも媚びず、尖ったバンドのレーベルにも入れず、でも貫いてやってきたら、BIG CATに立てた。海岸線!

6曲目は本日二度目の「海岸線

「この景色が全て!おいBIG CAT。お前の人生はお前が主人公や!お前だけが、主人公や!」そう言い放ち曲が始まる。

ダイバーは止まらず、熱狂の渦は更に拡大していく。

ステージ上の彼らは、本当に輝いていた。物理的に光ってるんじゃないかと思うほど、輝いていた。ロックスターとはこういう事なんだと。スターって本当に星のように輝くんだと。Blue Mashにはいつもそれを教えてもらう。

ギター弾けるやつ!全員バンドやれ!ベース、ドラム弾けるやつも全員バンドやれ!でもな、BIG CATには立てない。俺がお前の背中を一生邪魔し続けるから!」

7曲目には「このまま僕らが大人になっても

混沌極めるほどのフロアの熱狂具合で、前方で雪崩が起きたため曲は中断された。

落し物が各地で見つかり、ペットボトルが前方に投げ込まれる。

飲みかけのアクエリアスがステージに投げ込まれると、優斗はそれを拾って飲み干した。

「みんなも水分補給はしっかりな」

そして曲は再開。

どうせなら歌えるやつ全員歌ってくれ!

シンガロンをこれまでやって来なかったBlue Mashにおいて、歌う機会は滅多にない。

今後一生分歌うかのように悔いのないように歌い尽くした。ありがとう。

見放題で一番カッコイイバンド、Blue Mashでした。ありがとうございました。」

こうして30分間の革命は終わりを告げた。

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